「エンジニア転職を決意する前に、IT業界全体のことや職種、年収事情などを知っておきたい。」
「未経験転職の厳しい側面やIT業界の動向も踏まえて、じっくり検討したい。」
この記事は、上記のようにお考えのIT未経験の方を想定して作成したものです。
結論として、当サイトではIT未経験からのエンジニア転職、とくにインフラエンジニアへの転職を推奨していますが、全員が全員そのキャリアを歩まなくても良いと考えています。より良い仕方で転職しても成功が保障されているわけではありませんし、IT業界にあるエンジニア以外の職種やIT業界以外の選択肢もあるからです。
未経験からITエンジニアになることに少しでも不安がある場合は、IT業界がどのようなところか、どのような職種があるのか、最近の動向や年収事情、働き方はどうかなど、じっくり調べてから決めるのも良いでしょう。
この記事では、IT未経験の方が読めば、IT業界全体のことがネガティブな側面も含めて一通りわかるようになっています。エンジニア転職を考えるなかで、IT業界についての理解を深めたい方は、ぜひご一読ください。
Contents
IT業界に今飛び込むべき理由【未経験者歓迎】
この記事はIT未経験の方にじっくり考えてもらうためのコンテンツですが、客観的かつ冷静に見ても、IT業界への転職はおすすめです。IT業界の現状や動向を分析すると、未経験者がIT業界に飛び込むなら今がチャンスだという結論が浮かび上がっていきます。
以下では、IT未経験者がIT業界に今チャレンジすべき理由を3つ紹介するので参考にしてください。
市場規模28億円は日本一、今も成長中
未経験者の方にIT業界を推す理由は、第一にIT業界は規模が大きく、安定しているという点です。ほかの業界や産業に比べ、需要がガクッと落ちたり、景気が悪くなったりといったリスクが少ないと考えられます。
IDC Japanが発表した調査・レポートによると、2020年の国内IT市場は28兆2,155億円で、コロナ禍で前年より若干のマイナスはあったものの、依然として大きな市場規模を誇ります。また総務省発表の「令和3年 情報通信白書」では、2019年の情報通信産業の名目国内生産額は108.4兆円となっており、全産業の10.8%を占める国内最大の規模です。
またIT業界は今後も成長を続け、市場規模はさらに拡大していくといわれています。多くの業界が苦戦したコロナ禍においても、国民生活や公的分野のデジタル化によってIT需要は高まり、企業活動では働き方改革も意識したDX(デジタル・トランスフォーメーション)がトレンドになっています。このような現状から、少なくとも今後5〜10年においてIT業界は安泰でしょう。
深刻な人手不足で未経験者も歓迎される
第二に、これからのIT業界は深刻な人手不足に陥り、未経験者でも歓迎されやすいということがいえます。経済産業省委託事業の「IT人材需給に関する調査」では、2030年までにIT人材は約45万人、多い場合は約79万人も不足するという試算結果が出ています。
2025年時点でも40万人程度のIT人材が不足すると試算されており、現在のIT業界はまさしく「猫の手も借りたい」状況です。そのため、実務経験がなくても一定のスキルがあれば、もしくはまったくスキルがなかったとしても雇ってもらえる可能性が大いにあります。
実際、大手企業を含めて、IT企業では未経験者の採用が活発になってきており、研修や資格取得の支援など人材育成に力を入れる企業も多いです。
IT企業の9割がテレワークを導入、無理なく働きやすい
もう一つ、IT未経験の方にIT業界を推す理由は、ワークライフバランスを実現しやすいことです。レバテックが2022年3月に発表した調査結果によると、ITエンジニアを採用している企業のうち、テレワークを導入している割合は9割を超えました。また週5日以上のテレワークを意味する「フルリモート」の企業は、40.3%でした。
このようにIT企業では、積極的にテレワークが導入されており、仕事のほとんどがリモートワークであるケースも決して珍しくないため、無理のない働き方をしやすいです。よって、家族と過ごす時間や趣味の時間を大切にしたい、心身の健康に留意しながら働きたいといった方にも、IT業界は向いています。
IT業界ってどんなところ?【5つの業界の総称】
さて、ここからはIT業界の基本情報をお伝えしていきます。まず「IT業界」というのは総称で、実際には以下5つの業界に分類することができます。
インターネット・Web業界
インターネット・Web業界は、Webサイトやインターネット広告、SNS、ECサイトなど、インターネットを利用したサービスに関わる比較的新しい業界です。在宅ワークとの相性がよく、フルリモートの企業も多いので、ワークライフバランスを実現しやすい業界だといえます。
インターネット・Web業界を代表する職種は、Webサイトを企画するWebデザイナーやWebサイト制作を指揮するWebディレクター、Webサイトに載せる記事を書くWebライターなどです。また日々トレンドなどが変化するなかで新しい職種も生まれており、例えば、最近では動画コンテンツを制作する動画クリエイターが人気を集めています。
ソフトウェア業界
ソフトウェア業界は、コンピューターの動作をつかさどるプログラム(=ソフトウェア)を開発する業界です。具体的にはOS(オペレーティングシステム)やアプリケーションソフト、両者を取り持つミドルウェアなどを作ります。
ソフトウェア業界を代表する職種は、システムエンジニア(SE)やプログラマ、ネットワークエンジニアといったエンジニア職です。ソフトウェア開発では、システムエンジニアの設計をもとにプログラマーがプログラミングを行い、システムを具現化します。ネットワークエンジニアは、システムに不可欠なコンピューターネットワークの構築や保守などに携わります。
ハードウェア業界
ハードウェア業界では、パソコンやキーボード、マウス、プリンターなど、目に見える機械や設備、装置などを作る業界です。近年はスマートフォンやゲーム機、IoT家電をはじめ、インターネットとつなげられる電子媒体の需要が伸びています。
ハードウェア業界には、製品のプログラムを開発する組み込みエンジニアや、エラー・バグがないかをチェックするテストエンジニア、トラブルシューティングを担当するサービスエンジニアなどがあります。ハードウェア業界では、手で触れられる機器を扱い、成果が目に見えてわかるので、機械いじりが好きな方やものづくりに興味がある方、日々達成感を得たい方などにおすすめです。
情報処理サービス業界
情報処理サービス業界は、法人顧客を相手にシステムの構築や運用支援などを行います。企業の抱える悩みや課題を、IT技術を活用したサービスやシステムの開発・運用で解決していく業界と言い換えても良いでしょう。
代表的な企業としては、例えば、NECや富士通マーケティング、NTTデータ、大塚商会が挙げられます。また情報処理サービス業界では、プロジェクトマネージャやITコンサルタント、データサイエンティスト、セールスエンジニアなどの職種が活躍しています。
通信インフラ業界
通信インフラ業界は、インターネットや電話などの通信サービスやプロバイダに関わる業界です。光ファイバー通信や5Gといったサービスを提供するNTTドコモやKDDI、ソフトバンク、BIGLOBEなどが属しています。
通信インフラ業界で働く人々は、ネットワークやサーバ、データベースなど、IT業界に欠かせないライフラインを支える縁の下の力持ちです。ネットワークエンジニアやサーバエンジニア、データベースエンジニアのように、インフラエンジニアと呼ばれる職種が活躍しています。
IT業界にはどんな職種がある?
続いては、IT業界に存在するさまざまな職種を紹介します。すでに複数のエンジニア職には触れましたが、IT業界にはエンジニア以外にも事務や営業、マーケティングなど、幅広い職種があります。
IT事務・ITサポート事務職
IT事務・ITサポート事務は、システム開発の現場で書類作成やデータ入力、議事録作成、その他の事務作業を行う職種です。時間のかかる単純作業や特別なスキルが必要な作業を、エンジニアに代わって行うITサポートも仕事に含まれます。
IT事務・ITサポート事務には、「未経験可」の求人も多いため、何としてもIT業界に入りたい場合には、転職先の候補に入れてみても良いでしょう。事務作業をしつつ簡単なエンジニアの仕事も経験でき、実務経験を積んだり、開発現場に慣れたりといったことにつながります。
IT営業・コンサルタント職
IT営業は、ITに関する商品やサービスの営業活動を行う職種です。パソコンやスマートフォン端末、ネットワーク機器、サーバーなどの製品を売り込むこともあれば、システム開発や運用といったプロジェクトのクライアントを見つける仕事をする人もいます。
またITコンサルタントは、ITを駆使して企業の課題を解決する職種です。クライアントに対し、IT関連分野全般のアドバイスや経営戦略に沿ったIT戦略の策定、システムの導入支援といった仕事を行います。
Webマーケティング職
Webマーケティング職は、その名の通り、Webを活用してマーケティングを行う職種です。ECサイトやWebサービスを成功させるために、さまざまな手法を駆使して集客や販売、ブランディングの促進を目指します。
具体的には、プロモーション用のWebコンテンツ制作、Webサイト・動画チャンネルの改良、SNSの開設・運用、データ分析といった仕事をすることが多いです。なお、Webに限らず、スマホアプリなどを使ってマーケティングをすることも増えていることから、より広い意味で「デジタルマーケティング」という言葉も使われます。
ITエンジニア職
ITエンジニアはIT関連分野における技術者の総称で、「開発系エンジニア」と「インフラエンジニア」に分類されます。開発系エンジニアはシステムエンジニア(SE)やプログラマー、組み込みエンジニアなど、システムや製品を作る職種です。
一方でインフラエンジニアは、ネットワークエンジニアやデータベースエンジニア、クラウドエンジニアのように、ITシステムの基盤に携わり、構築や保守・管理といった仕事を行います。一般的に「ITエンジニア」というと開発系をイメージされる方が多いですが、IT未経験者には定型業務の多いインフラエンジニアのほうがおすすめです。
ITマネジメント職
ITマネジメント職とは、「プロジェクトマネージャ」や「プロジェクトリーダー」など、プロジェクトの管理や指揮に関わるいわば開発分野の「管理職」です。新規プロジェクトの予算設定やメンバー選定から現場指揮まで、管理業務全般を担います。
組織を考えたり、人を使ったりといった視点で動く職種なので、経営や組織に興味のある方におすすめです。なお、現場や状況によっては、マネジメント職の人間がシステムエンジニアと一緒に開発業務を行う場合もあるため、管理職になっても開発の仕事は続けられます。
IT業界の年収事情
年収アップを狙ってIT業界へ転職する場合には、職種選びも重要です。IT業界には、たくさん稼げる職種とそうでない職種があります。以下では、マイナビAGENTの「職種別平均年収ランキング」などを参考に、IT業界の代表的な職種の平均年収をまとめました。
職種 | 平均年収 | 30代の平均年収 |
システムコンサルタント | 610万円 | 732万円 |
プロジェクトマネージャ | 569万円 | 622万円 |
Webディレクター | 493万円 | – |
IT系営業 | 472万円 | 585万円 |
ネットワークエンジニア | 455万円 | 554万円 |
システムエンジニア・プログラマー | 443万円 | 505万円 |
IT事務 | 380万円 | – |
出典:マイナビAGENT「職種別平均年収ランキング」
※IT事務とWebディレクターのみ「求人ボックス給料ナビ」を参照
この表を見ると、IT業界の平均年収は比較的高いことがわかります。特筆すべきは30代の平均年収で、記載のある職種に関してはすべて500万円超えです。このことから、IT業界では20代のうちはそれほど稼げないが、30代以降は高収入を目指せることが推察されます。
なお、年収の高さを重視すると、システムコンサルタントやプロジェクトマネージャ、Webディレクターなどを狙いたいところですが、IT未経験者がいきなりそれらに転職するのは難しいです。そのため、IT未経験の方には営業スキルに自信がある場合はIT系営業、そうでない場合はエンジニアに転職することをおすすめします。
未経験ITエンジニアの厳しい5つの現実
このサイトでは、IT未経験からのエンジニア転職を推していますが、未経験から転職したすべての方が簡単にITエンジニアとして活躍できるようになるとは考えていません。事実、未経験からのIT転職には以下で挙げるような厳しい現実もあります。
1. 転職先のほとんどが客先常駐(SES)企業
第一に、IT未経験のエンジニア転職では、内定を出す企業の多くが客先常駐(SES)の企業です。SESとは、自社からクライアント企業へエンジニアを派遣する企業の形態で、社員はほかの企業で仕事をすることになります。
厳密には異なりますが、実質は派遣社員のようなものなので、SES企業に転職すると給料が少なかったり、希望と違う仕事を任されたりといったケースも多いです。とはいえ、SES以外の企業への転職を目指せば、ハードルは跳ね上がります。
そのため、「最初の数年はきついが、実務経験を積んでスキルを磨き、近い将来必ずステップアップする」という覚悟を持っておくことも重要です。ちなみにSESではさまざまなクライアント企業で幅広い仕事にあたるため、新人が経験を積むには適しているという側面もあります。
2. 人手不足のブラック企業を引く恐れも
上述した通り、IT業界は深刻な人手不足に陥っているため、人がまったく足りていないブラック企業も存在します。納期が迫っていたり、すぐに対応が必要な重大な障害を抱えていたりして、「誰でもいいから人がほしい」と考えているブラック企業も決して少なくありません。
そうしたブラック企業に入社してしまうと、長時間労働を強いられたり、無休で働かされたり、実力以上の難しい仕事を任されるなどの事態が生じます。IT未経験からブラック企業に入社し、過労で体を壊して入院したという話も聞くので、企業選びには重々注意するのがおすすめです。
3. いきなりコードは書かせてもらえない
開発系エンジニアになる場合、未経験から入社してすぐにばりばりプログラミングをさせてもらえるかというと、そうではない場合もあります。未経験者の教育に力を入れている企業では、最初の半年程度はタイピングやプログラミングを社内で学習し、その後簡単な案件から仕事に入っていくというケースも多いです。
すぐに仕事を任されるのは不安だと感じる方なら良いですが、どんどんコードを書いて早くステップアップしたいとお考えの方は、物足りなく感じる場合もあるでしょう。その点、人手不足の企業なら入社直後から重要な案件を任される可能性もあるため、叩き上げでスキルを固めたいなら、ある程度労働環境の厳しいところを選ぶ手もあります。
4. 30歳以上の未経験転職はハードルが高い
IT未経験からのエンジニア転職では、一般的に「30歳」を境に大きくハードルが上がるといわれています。「未経験歓迎」の求人において、企業は体力や意欲のある若者を求めており、30歳を過ぎるとそのニーズにだんだん合わなくなってくるからです。
とはいえ、昨今のIT業界は人手不足が顕著なので、30代でも入りやすくなってきています。また30代が培ってきたビジネスパーソンとしての経験を評価する動きもあります。そのため、できるだけ早く転職するに越したことはないですが、30代ならまだまだ十分にチャンスがあるといえるでしょう。
5. ポートフォリオや資格がないと相手にされない
ITエンジニアとしてのスキルを証明するポートフォリオや資格がないと、未経験者の場合は内定をもらえないことがあります。ITエンジニアの世界は実力主義なので、何らかの手段でスキルを証明できないと、企業にとって魅力的には映りません。
経験者の場合は実務経験によって実力をアピールできますが、未経験者にはそれがないのでポートフォリオや資格が必要です。よって、転職活動の前にポートフォリオを作ったり、資格を取得したりすることをおすすめします。
ITエンジニアに必要な資格やスキル
ここでは、ITエンジニアに転職する前に取っておくのがおすすめの資格を紹介します。ITエンジニアとして活躍するうえで資格は必須ではありませんが、実務経験のない未経験者は、採用現場でスキルを客観的に証明するものがないので、その手段として資格を取得しておくのが理想的です。
LPIC
LPICは、有名なOSであるLinuxを扱うLinux技術者を認定する資格です。OSはもちろん、ネットワークやセキュリティまで幅広く学べることから、「ITエンジニアの登竜門」ともいわれ、多くの企業がこの資格を評価しています。
なお、LPICにはレベル1からレベル3までの3種類がありますが、IT未経験からエンジニア転職を目指す場合は、少なくともレベル1は取得しておくのが望ましいです。
CCNA
CCNAは、コンピュータネットワーク機器を手掛ける大手・シスコシステムズによる認定資格です。ネットワークの導入から運用、トラブルシューティングまで、ネットワークの基礎知識を幅広く身につけることができます。
そのため、とくにインフラエンジニアの一種であるネットワークエンジニアを目指す方におすすめです。またネットワークの知識は開発現場でも求められるので、開発系エンジニアを目指す方にも向いています。
Googleアナリティクス個人認定資格(GAIQ)
Googleアナリティクス個人認定資格(GAIQ)は、Googleのデータ解析ツール「Googleアナリティクス」に関するスキルを証明できる資格です。GoogleアナリティクスはWebサイトの分析に非常によく使われるので、インターネット・Web業界、とくにWebマーケティング職に就きたい方に適しています。
GAIQを取得すれば、Googleアナリティクスの導入や設定、カスタマイズ、指標の理解に至るまで、体系的・網羅的に理解していることを証明することが可能です。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、高度IT人材となるのに必要な基本的知識・技能および実践的な活用能力を認定する国家資格です。こちらも「ITエンジニアの登竜門」と呼ばれており、プログラミングや情報セキュリティ、アルゴリズムから、ネットワーク、マネジメントまで幅広い知識を習得できます。
またITエンジニアとして働くうえで前提となる業務知識や業界知識を身につけるのにも良いとされる資格なので、IT未経験の方には大変おすすめです。
コミュニケーションスキル
資格で証明できるもの以外に、ITエンジニアに必要なスキルを挙げるとすれば、一番はコミュニケーションスキルです。ITエンジニアは、プロジェクトの同僚や先輩、クライアント企業の人たちなど、さまざまな人と関わるので、コミュニケーションに長けていたほうが、円滑に仕事ができます。
そのため、例えば、営業や接客の経験があるなど、過去にコミュニケーションスキルを証明できるような実務経験があれば、高評価を得られることもあるでしょう。
ホワイト企業を見抜く3つのポイント【未経験者必見】
上述の通り、「未経験者歓迎」の求人を出しているIT企業のなかには、ブラック企業も一定数含まれているので、ブラック企業を避け、ホワイト企業を選ぶことが大変重要です。数あるIT企業のなかからホワイト企業を見抜くには、以下3つのポイントに注目しましょう。
- 福利厚生
- 教育制度
- 企業規模・形態
以下では、それぞれのポイントについて簡単に解説するので参考にしてください。
1. 福利厚生
ホワイト・ブラックを問わず、ITエンジニアは多忙になることが珍しくありません。そのため、シャワー室や仮眠室の設備があったり、定期的に健康診断が受けられたりと、健康的に働くための設備や制度のある企業がおすすめです。
また人手不足で休みが取れないといった事態を避けるためには、リフレッシュ休暇や有給休暇の制度、取得状況にも注目してみましょう。お子さんが生まれる予定やご両親の介護などがある場合は、育児・介護休暇の制度も要チェックです。
2. 教育制度
IT未経験の方が転職する場合、転職前のスキルアップには限界があるので、教育制度の充実した会社に入るのがおすすめです。さまざまな研修が受けられたり、資格の取得を支援してもらえたりする企業を選びましょう。
そのように教育制度が整った企業に入れば、万が一「自分に合わなかった」と再転職する場合にも、その会社に入った意味を見いだせます。その会社に勤めた期間は無駄に感じられたとしても、教育制度で身につけたスキルは無駄になりません。そのスキルをアピール材料にしてより良い企業に入る、思い切ってフリーランスになるといったキャリアプランが開けます。
3. 企業規模・形態
IT企業は、企業規模や形態によって以下のように分類できます。
- 大企業
- 自社開発の中小企業
- 派遣・下請けの中小企業(SESを含む)
大企業や自社開発の中小企業は、同じ部署で長期間勤務できる可能性が高いといわれており、一つのところで長く働き、専門的な技術を深くじっくり学びたい方におすすめです。また企業規模が大きい分、資金や人的資源に余裕があり、ホワイト企業にあたる確率も比較的高いといえます。
一方でSESを含む派遣・下請けの中小企業には、ブラック企業を引く恐れも若干あるものの、さまざまなところで幅広い経験を積めるという魅力があります。仕事は多少きついかもしれませんが、叩き上げで確固たるスキルを作り上げるのには良い環境だといえるでしょう。
転職支援で企業を紹介してもらえば安心
確実にホワイト企業に入りたいと思いなら、ITスクールや転職エージェントでキャリアサポートを受け、優良企業を紹介してもらうのがおすすめです。上記ではホワイト企業を見抜くためのポイントを紹介したものの、業界経験のない人が優良企業を見分けるのには限界があります。
そのため、転職のプロが推奨する企業に入ったほうが安心です。またキャリアサポートを受ければ、より良い仕方で転職活動ができたり、推薦状を書いてもらえたりして、普通だと入るのが難しいような企業でも内定の可能性が出てきます。
未経験からのIT転職で失敗しないために
これまでの内容を踏まえ、以下では未経験からIT業界へ転職する方に向けて、IT転職で失敗しないためのコツを紹介します。未経験だけどIT転職で失敗したくない、より良い仕方でIT業界に飛び込みたいなどとお考えの方はぜひ参考にしてください。
開発系でなくインフラエンジニアから始めるべき
ITエンジニアというと、システムエンジニアやプログラマーなど、開発系エンジニアをイメージされる方が多いかもしれませんが、IT未経験からITエンジニアに転職するのは比較的難しいといえます。開発現場では十分なスキルに加えて、センスや経験則も求められるからです。
一方でインフラエンジニアの場合は、マニュアルに沿って行うような定型業務も多く、一定のスキルがあれば未経験者でも仕事をこなすことができます。そのため、IT未経験の方がエンジニア転職を目指す場合は、インフラエンジニアとしてIT業界に入るのがおすすめです。
ちなみに現在は開発系とインフラ系の境がなくなってきており、インフラエンジニアからキャリアをスタートさせ、将来的に開発分野でキャリアアップしていくことも十分に現実的だといえます。また先ほどネットワークエンジニアのほうがシステムエンジニア・プログラマーより平均年収が高かったことを見ましたが、インフラエンジニアでも十分に稼げます。
独学でなくスクールで勉強するのが正攻法
独学でエンジニア転職を目指そうとしている方もいるでしょうが、一般的にはITスクールを活用してスキルを身につけるのがおすすめです。参考書や学習サービスで独学して成功した人も過去にはいますが、それは学力やセンス、運などに恵まれた稀有な存在だと考えてください。
IT業界は実力主義の世界なので、スキルがなければ活躍することは不可能で、採用もされません。そのため、ITスクールを活用し、IT人材を教育するプロから現場で必要な実践的なスキルを身につけてから転職するほうがより安全です。
スキルを証明するうえで資格取得は必須
IT未経験者が採用現場でITエンジニアとしてのスキルを確実に証明できる手段は、基本的に資格だけです。ポートフォリオを作成する手もありますが、自己流のポートフォリオはマイナスに影響する可能性も考えられます。まずいポートフォリオを見せて「こいつセンスないな」と判断されれば、その時点で採用はなくなるでしょう。
一方で資格は履歴書に名称を書くだけで、対象のスキルを客観的に証明できます。IT未経験者にとって非常に心強いツールなので、転職前にぜひ取得しておきましょう。
キャリアサポートも絶対に活用したほうが良い
未経験からのIT転職を成功させたいなら、キャリアサポートもぜひ活用しましょう。IT未経験者がスキルで他と差をつけるのには限界があり、採用の可否には応募書類の書き方や面接での立ち振る舞い方などが比較的大きな影響力を持つと考えられるからです。
また上述の通り、キャリアサポートはホワイト企業を簡単に見抜くうえでも役立ちます。ITスクールや転職エージェントでは、基本的に無料で転職支援が受けられるので、ぜひ積極的に使ってみてください。
【結論】スクールで資格取得、転職支援を受けて入社が王道
未経験からIT業界へ転職するのに、十分なスキルの習得・資格取得・転職支援の3つが不可欠だと考えれば、最も合理的な手段はITスクールを活用することです。特定のITスクールでは、実務的なスキルを学んだうえに資格試験の対策ができ、さらにはキャリアサポートもしてもらえます。
またわざわざお金を出してスクールに通ったことが、採用選考の場でエンジニア転職への本気度をアピールする材料になることもあります。比較的低価格で受講でき、1〜3ヶ月程度の短期間で修了できるスクールもあるので、ぜひ活用を検討してみてください。
インフラエンジニアがおすすめ、転職は今がチャンス!
IT未経験の方がIT業界に転職するなら、年収や働き方などの点から職種はITエンジニアがおすすめです。とくにインフラエンジニアは定型業務が多く、未経験からでも比較的スムーズにキャリアを始められます。
目下成長中のIT業界は人手不足が顕著で未経験採用も多く、テレワークも普及していてワークライフバランスも実現しやすいので、転職するなら今がチャンスです。より成功率を高めたい場合は、ITスクールに通って資格を取得、転職支援を受けて紹介してもらった企業に入社という流れで転職しましょう。