IT業界に転職するためにLPICを取得しようとして調べていたところ、「LPICは廃止」という情報を見つけて、不安になってしまった方がいらっしゃるかもしれません。
その噂は2018年に発生したもので、当時は本当に「LPICが廃止になる」と思っていた人も多かったようですが・・。今回筆者が調べてみたところ、LPIC廃止はおかしな形で情報が広がってしまった勘違いでした。
この記事では、次のことをお伝えしています。
- 「LPIC廃止」という噂が広まってしまった経緯
- LPICという資格が2022年の現在もIT業界への転職に有利なこと
- 特にインフラエンジニアやクラウドエンジニアへの転職には高い評価を得られる理由
また、筆者もネットワークスペシャリストや情報セキュリティスペシャリスト、プロジェクトマネージャーなど多くのIT系資格を取ってきましたが、その中には廃止されて別の資格に変わってしまったものもあります。その経験から、「もし、資格が廃止されるとしたらどうすればよいか」についても、筆者の考えをご紹介しています。
資格の意義についてのお話なので、皆さんの勉強に対するモチベーションアップにつながれば嬉しく思います。
Contents
LPICとは?
まず、LPIC(エルピック)という資格について、再度確認しましょう。
LPICの概要
LPICの正式名称は「Linux技術者認定試験(Linux Professional Institute Certification)」というもので、文字通りLinux(リナックス)の認定試験です。試験は2000年から続いており、世界中で実施されているとてもメジャーなもの。企業からの評価も高い資格です。
Linuxの知識は、インフラ系エンジニア、例えばインフラエンジニアやクラウドエンジニアにとって必須といえます。インフラシステムで使用されているサーバーの多くは、Linuxであるからです。
そのため、Linuxやそれを活用するためのネットワーク、セキュリティなどについての認定試験であるLPICを取得することは、インフラ系エンジニアへの転職を考えた場合とても有効な資格です。実際に求人サイトを確認すると、「LPIC保持者優遇」という企業がたくさんありますよ。
LPIC試験の種類
LPICは大まかに、以下の3つのカテゴリーに分かれています。
- LPIC Level1
- LPIC Level2
- LPIC Level3
Level1が最も基本的な試験で、レベルが上がるにつれて難易度も上がります。
資格の目的がクラウドエンジニアなどへの転職に活かすという場合、LPIC Level1の取得までで十分です。Level1でもLinuxやインフラシステム全般についての知識がある証明になりますし、資格を取るために勉強したことは、実務でもとても役に立つはずです。
LPIC Level1の概要
LPIC Level1は、次の二つの試験に合格することで取得します。
- LPIC-1試験101
- LPIC-1試験102
基本的には、101の出題範囲の勉強をして101を受験し合格する、次いで102の勉強をして受験・合格、という流れになります。
試験の概要やおすすめの勉強法については、こちらに詳しくまとまっていますので、併せてご覧ください。
LPIC廃止の情報はいつどうやって広まった?
LPIC廃止という情報は、いつ頃、どのようにして広まったのでしょうか?
経緯を振り返りましょう。
「LPIC廃止!?問題」の概要
2018年2月、その告知は突然でした。
それまで日本国内でLPICの運営を行っていたNPO法人のLPI-Japanが、LinuC(リナック)という新しい認定試験を発表したのです。
なぜLPICを運営している組織が、同じような認定資格であるLinuCを立ち上げたのか?
答えは8月にLPI-Japanから告知された、「LPIC取り扱い停止に関するお知らせ」というページで明らかになりました。
“LPI-Japanでは長期にわたりLinux技術者認定試験として「LPIC」の普及活動を行ってまいりましたが、下記の理由からその取り扱いを基本的には停止することといたしました。
今後のLinux技術者認定試験においては、2018年3月から提供をしておりますLinuC(リナック)をご利用いただけますよう、よろしくお願いいたします。“
引用元:https://lpicj.org/201808.html
このニュースを受けて、
「LPICの主催団体が、LPICを停止する!?」
「だからLinuCなんて資格を作っていたのか!」
などの声が挙がります。
「Linuxの資格といえばLPIC」と、世界中で認識されているほどメジャーな資格です。
日本でもそれまでに多くの方が認定を受けてきましたが、その資格を日本での主催団体が放棄するということで、そのインパクトはとても大きなものになったのです。
このインパクトの大きさゆえ、告知はLPIC取り扱いの「停止」だったのですが、やがて「LPIC廃止!」と言葉を変えて、瞬く間にIT界隈に広がったのでした。
「LPIC廃止」というパワーワードによって、「LPICは終わった」という認識が独り歩きして拡散されました。
この記事を読んでいるあなたも、「LPICが廃止になると聞いて・・」と心配してここにたどり着いてくださったのかもしれません。
ではなぜ、LPI-Japanが取り扱いを停止するようなことになったのでしょうか。
その実態は・・単なるお家騒動でした。
お家騒動の経緯
LPIC周りのゴタゴタであるお家騒動について、経緯を説明します。
登場人物は、次の二人。
- LPICの開発元であるLPI(本社:カナダ)
- LPI-Japan
LPIとLPI-Japan。名前が似ていますが、別の団体です。
LPIはLPICを開発して世界で運営しているNPO法人。
LPI-Japanは日本のNPO法人です。
この二人の仲違い(?)というのが、このお家騒動の実態です。
2018年2月 LPI-Japanが新資格「LinuC」を立ち上げる
2018年2月、それまで日本国内でのLPIC試験運用を担っていたLPI-Japanが、新しくLinuC(リナック)というLPICと同じような資格の新設を発表しました。翌3月から運用を開始します。
なぜ同じような資格を新たに立ち上げたのでしょうか?
その理由は、当時の記事に次のように書かれていました。
“LinuCは、日本のLinux技術者に対するスキルや知識のニーズをLPI-Japan主導で迅速に試験に反映するのが狙い。
「Linuxは各国でシェアの高いLinuxディストリビューションが異なるなど、スキルの地域性が高い」(LPI-Japanの成井弦理事長)。
LPIC認定業務で生じていた翻訳作業や試験内容への国内ニーズの反映の遅れなどがなくなり、日本市場に最適化できるとする。“
引用元:https://xtech.nikkei.com/it/atcl/news/17/020503101/
ポイントは次の3点です。
- 日本のLinux技術者のニーズに、LPI-Japan主導で迅速に答えるため。
- Linuxは各国でシェアの高いOSが異なるなど、スキルの地域性が高い。
- 翻訳作業や国内ニーズの反映の遅れを無くし、日本市場に最適化する。
LPIは英語版を原本としてそれを翻訳して世界中で使われるため、確かに日本版が出てくるまでには若干の時間差があるとは言えますが、それほど大きな時差があったのか。また、LPICの特徴は「OSの種類(ディストリビューション)に依存しないこと」ですので、「スキルの地域性」というのも、今振り返るとイマイチ納得しかねる理屈に見えます。
2018年6月 LPIが日本支部設立を発表
それに対してLPIが対応します。
2018年6月7日、LPI日本支部を新規に設立することを発表したのです。
当時の記事では、次のように伝えられていました。
“国際的なLinuxの認定試験を運営・配信している非営利団体LPI(Linux Professional Institute、本部カナダのトロント)は、2018年6月7日、日本支部を立ち上げると発表した。今後LPIが配信しているLinux技術者認定試験「LPIC」のサポート窓口は日本支部(東京・秋葉原)が管轄する。”
引用元:https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/00602/
つまり、「LPIが日本支部を立ち上げ、今後のLPICサポートはこちらで引き継ぐ」と発表したのです。
これまでの登場人物2人に加えて、「LPI日本支部」という第三の関係者が加わりました。
- LPICの開発元であるLPI(本社:カナダ)
- LPI-Japan
- LPIが設立した、LPI日本支部←New!
2018年6月 LPI-Japanがサイト上で対抗
それに対してLPI-Japanも即座に応戦します。
プレスリリースが出た翌日の2018年6月8日、サイト上に「Linux Professional Institute及びLinux Professional Institute日本支部による2018年6月7日付けのプレスリリースについて」というお知らせをリリースしました。
“LPI-JapanはLinux Professional Institute日本支部とは何らの関係はなく、LPI-Japanは本計画を含むLinux Professional Institute日本支部の活動に何ら関与を行っておりません。上記プレスリリースは、誠に遺憾ながら、「LPIC」の実施、提供およびサービスに関する独占的権利を保有しているLPI-Japanに無断で行われたものでございますが、受験生の皆様には、より良い選択肢をご提供できるように配慮してまいります。”
引用元:https://lpi.or.jp/news/information/20180608.shtml
「LPICの日本での実施やサービスに関する独占的権利は、LPI-Japanが持ってますよ?無断でそんなこと発表しないでくださいね!」という反論をしたのです。
これに対してLPIとLPI日本支部は、今度はメディア上で、ここまで表に出てこなかった訣別の理由を暴露します。
2018年8月 LPIが日本のメディアでLPI-Japanとの決別の理由を公表
2018年8月上旬、こちらの記事でLPI本部代表のコメントが喧伝されました。
“LPIの資格認定者がLPIのボードメンバーになれるようにしたことです。つまり、ボードメンバーを選ぶための投票ができるようになったのです(中略)
LPI-JapanがLPIの支部となってくれることに関心を持っているならばそれでよかったのです。しかし、相談したところ関心がないことがわかりました。それでは新しい細則を展開するにあたり、自分たちでやるしかない。そうしてLPI日本支部を設立しようという流れになったのです。“
引用元:https://hrzine.jp/article/detail/1156
LPI-Japan と別れ、LPI日本支部を新規に設立した理由は、「LPI資格認定者がボードメンバー(取締役会の役員)になれるというルールに、LPI-Japanが賛成しなかったため」という言い分です。これまでLPI-Japanが公表していた理由とは異なりますね。
両社の噛み合わない主張が続きましたが、LPI-Japanが権利を主張していたLPIC認定試験の運営は、最終的にどうなったのか。
いよいよ決着をむかえます
2018年同月 LPI-JapanがLPIC取り扱い停止をアナウンス
上記LPIの主張がWeb上に掲載された同月、前述した「LPIC取り扱い停止」というアナウンスがLPI-Japanから発表されました。LPICはLPI-Japanの手を離れることになったのです。
LPIC取り扱い停止について、LPI-Japanからは次の3つの理由が公表されています。
1.LPICの試験問題がインターネット上に流出している問題を改善してもらえなかった。
2.LPI-Japanからの試験配信と受験者・認定者へのサポート継続が受けられなかった。
3.受験者情報を管理するデータベースへのアクセスがLPIより切断された。
引用元:https://lpicj.org/201808.html
LPIC使用ライセンスも2018年8月16日で終了したことで、LPI-JapanはLPICから完全に撤退した、ということになったようです。
この発表のインパクトが大きかったため、日本における「LPIC廃止」というイメージが広がってしまったのでした。
LPICは継続しています
ここまで、LPIとLPI-Japanの騒動について、ちょっと面白おかしく紹介してしまいましたが、ポイントは次の点です。
- 日本でのLPICは、LPI-JapanからLPI日本支部の管轄に移った。
- 日本ではLPI-Japanによって、LinuCという新しいLinuxの資格が生まれた。
このように、LPICは主催団体が本家に移っただけで、続いています。
2022年現在も日本ではLPICが運営されていますし、その価値も変わっていません。
LPICは試験に合格して認定を受けることで、これまで通り高い評価が得られる資格です。
この資格を転職に活かそうとお考えの方は、自信を持って勉強してOK!というのが、この騒動の結論です。
LPIC廃止の流れから登場したLinuCとは?
LPI-Japanが2018年、新規に策定したLinuC(リナック)とは、どのような資格なのでしょうか。
LPICと共にLinuxに関連した資格であるため、何が違うのか、転職に向けたアピールとしてはどちらを選ぶのが良いのか、迷ってしまいますよね。
ここではLinuCという試験について、LPICとの違いも含めて説明いたします。
LinuCとは
LinuCは正式名称を「Linux技術者認定試験 LinuC」といい、LPI-Japanという日本のNPO法人が主催する認定試験です。
2018年3月に、LPICをベースにして策定されました。
名前が示す通り、Linuxの技術者としてのスキルを認定する試験で、Linuxのインストールや基本的な操作はもちろん、Linuxサーバーの構築や運用、Linuxシステムやネットワークの設計・構築のスキルを証明できます。
LPICをベースに作ったため、初期リリースにおいてはLPICとほとんど同じ出題範囲でした。また、受験の申し込み方や受験方法も同一で、CBT試験(コンピュータを使った試験方式)かオンライン試験であることも一致しています。
ですが、2020年4月1日よりVersion10.0に更新。クラウド時代に沿った現場で求められる内容に変わりました。
では、LinuCはLPICとどのような違いが生まれたのでしょうか。
2022年現在、LinuCとLPICの違い
もともとはLPICをベースにしていて、派生するような形で生まれたLinuC。似ている点が多いのですが、違いをまとめました。
試験が行われている範囲
LPICとLinuCの最大の違いは、試験が行われている範囲です。
LPICは、LPIというカナダのNPO法人が主催しており、世界180か国・9言語で展開されているグローバルスタンダードの資格です。世界中で同じ試験を翻訳して実施されており、認定は世界的に評価されています。日本国内はもちろん、外資系企業などに転職を目指す場合にも、LPICは有効な資格ということになります。
一方のLinuCは、LPI-Japanが主催する日本国内向けの資格です。
日本国内のLinux技術者に必要な技術を重視されているので、国内企業を目指す場合にはアピールになりそうです。
日本国内にはLinuCに協賛している企業があるので、そういった企業やその関係会社への転職を目指す場合は特に有効といえるでしょう。
このように、認定の評価の範囲が異なるのが、ふたつの資格の最大の違いです。
認知度や評価の違い
LPICは2000年に開始されて以来、世界的にも長く評価されている資格です。
これまで認定試験は180ヵ国で実施され、70万人が受験、27万人が認定を受けています(2021年8月時点)。
一方のLinuCは、2018年から開始された試験。2020年3月時点での累計認定者数はまだ4万人にとどまります。
LinuCはVersionをあげるなどよりよい資格として成長していますが、認知度や評価はまだLPICに分があるといえるでしょう。
試験範囲の違い
LPICもLinuCも、難易度によってレベル1からレベル3に分かれていますが、それぞれのレベルで出題される範囲が異なります。
LIPCでは、レベル1、レベル2まではLinuxのコアな技術が中心で、レベル3からそれを応用するような技術を対象としています。
一方のLinuCは、Version10.0になって、
- クラウド
- オープンソースのリテラシー
- システムアーキテクチャの知見
をクラウド時代に欠かせない本質的な技術と位置付け、これらをレベル1やレベル2の段階から試験範囲に組み込むようになりました。
またLinuCは、Linux技術者にとどまらずクラウドシステムや各種アプリケーション開発に携わるIT技術者にとっても有効な技術認定を目指して、発展しています。
各レベルでの対象技術の違いと共に、LinuCが資格の対象範囲を広げていることから、お互いの試験範囲が少しずつ変わってきていることがわかります。
LPIC廃止だとすると、いつ頃なのか!?
「LPICが廃止だとすると、いつまで有効なの?」
「いまからLPICの勉強をしても、無駄になるのだろうか・・?」
「日本の会社に転職するならLinuCを勉強しないとダメ?」
Linuxの資格を取得してクラウドエンジニアへの転職を目指していたのに、「LPIC廃止」というフレーズを聞いて、このような心配をされている方もいらっしゃるかもしれません。
LPICは廃止されるのか?廃止するとしたらいつごろなのか?
ご安心ください!LPICが廃止されるという根拠はありません。
LPIC廃止の可能性は?あるとすればその時期は??
LPICが廃止される可能性については、2022年現在では予定もされていません。
日本でのLPICの実施団体が、それまでのLPI-Japanという団体から、新しく設立された本家LPIの日本支部に移っただけのことです。
旧実施団体のLPI-JapanがLPICの扱いを終了する際に発表した、「LPIC取り扱い停止に関するお知らせ」というパワーワードによって勘違いが広まってしまいましたが、これはLPIC廃止を意味するものではありません。
心配されていた方にご安心いただくために、2022年現在の運営がどうなっているのか、ご紹介します。
現在の日本でも安定した運営
現在日本でLPICを運営しているLPI日本支部はしっかりと機能していて、積極的に情報発信をしてくれています。
こちらはLPI日本支部公式のYouTubeチャンネルです。LPICの学習ポイントなどを教えてくれていますよ。
試験制度としても、更新しています。
2021年10月に、LPIC-3はバージョン3.0にバージョンアップされましたが、日本での試験も世界と同様に3.0に更新されました。
YouTube公式チャンネルでも、早くから日本語での情報提供もされていました。
ユーザー側にとっては、LPICは何も変わっていません。
安心して勉強していただいて大丈夫です!
LPIC廃止で悩むくらいなら今すぐ取得してしまおう!
「インフラエンジニアやクラウドエンジニアに転職したい、そのためにLPICを受験するのがいいらしい」と前向きな気持ちになったところで、調べてみたら「LPIC廃止」なんて書かれていたら、不安になりますよね。
それで資格取得に躊躇されている方がおられるならば、私はこうお伝えしたいです。
「大丈夫!迷っているぐらいならLPIC取得しちゃいましょう」と。
なぜ自信を持ってそういえるのか?私自身が多くのIT系資格試験に合格してきたのですが、その視点から理由をお伝えします。
LPICは廃止されないため
まずは、ご安心ください。LPICが廃止される予定はありません。
この記事でもお伝えしていますが、日本におけるLPICの主催団体が、新設された本家LPIの日本支部に移ったというだけのこと。
「せっかく頑張ったことが無駄になるかも」という心配は不要です。
LPIC取得には転職へのメリットが多いこと
未経験ながらもインフラエンジニアやクラウドエンジニアに転職したい場合、LPICの取得は非常に有効です。
その理由について、ご紹介します。
インフラ系エンジニアの必須の知識
インフラ系エンジニアにとって、Linuxの知識は必須です。インフラシステムの中心となるサーバーはLinuxが多く使われているためです。
また、LPICではLinuxだけではなく、ネットワークやセキュリティなどインフラシステム全体に関わる知識も、試験範囲に含まれています。
今後主流となることが見込まれているクラウドエンジニアは、インフラシステム全体を把握して開発・運用する幅広い知識が要求されるので、転職前にLPICの取得を目指して知識を体系付けて学べることは、転職後に実務に携わる時にも確実に力になってくれることでしょう。
転職の際のアピールになる
LPICを取得することで、IT業界未経験者であっても転職時のアピールが可能です。
例えばクラウドエンジニアへの転職を希望した場合、クラウドエンジニアは幅広い知識が要求されるためIT業界未経験ではかなり敷居が高いのですが、LPICに合格していることで一定以上の知識があることを客観的に証明できます。
職務経歴書にエンジニアとしての経歴を書けない未経験者の方は特に、LPICによるスキルのアピールは重要です。
LPIC取得と転職にスクールを活かす
IT未経験の方は、独学でLPICを取得できるのか、どのように資格を活かした転職活動をすればよいのか、不安な方もいらっしゃるかもしれません。
その場合はLPIC資格の取得と共に就職サポートも受けられる、IT/プログラミングスクールを活用してみてはいかがでしょうか。
CODExCODEには、LPICの取得のためのカリキュラムと共に、世界トップのクラウドサービスであるAWS(エーダブリューエス:Amazon Web Service)の技術も併せて学習することでクラウドエンジニアへの転職を目指せる、「クラウドエンジニアコース」があります。
またCODExCODEでは、講師とは別の担当キャリアカウンセラーによる転職サポートもサービスに含まれています。
カウンセラーとのヒアリングによって希望する働き方を話しあったうえで、企業の紹介から履歴書・職務経歴書など書類の添削、さらに応募する企業に適した面接対策まで専門家のサポートを受けられます。
LPICの資格について、または未経験からの転職についてなど、無料で相談できる「Webオリエンテーション」があるので、まずはこちらから試してみるのはいかがでしょうか。
LPICが廃止される場合の考え方
最後に、「迷っているならLPICを取ってしまおう」とお伝えした最も大きな理由を紹介させてください。
それは、仮にLPICがいずれ廃止されるとしても、今この資格を取得する価値には全く影響しないからです。
筆者の経験上、ITエンジニアは、資格を取ったからといって一生安泰になるわけではありません。
むしろ業務の中で学びながらスキルが不足しているところを自主的に伸ばしていくような、業務に携わってからのスキルアップがとても重要です。
このような実務経験に伴ったスキルアップによって初めて、将来の仕事の幅が広がったり、大手への転職や大幅な収入アップが見込めたりするのです。
では、実務でのスキルアップが重要ならば、資格を取る意味はないのでしょうか?
いえ、筆者はIT業界に転職をするためには、資格の取得はとても有効だと考えています。
資格の勉強を通して体系的な知識を得られますし、何より資格があることで一定以上の知識があることを証明できるため、転職の際の評価となります。
資格を取ることは、転職する際にもその後実務に携わった時にも、あなたの力になってくれることでしょう。
このように、資格を取得するメリットは将来性ではありません。今、必要な知識を学んで転職や業務に活かすというもの。
そう考えると、仮にその資格がいつか廃止されることになっても、それは今とは関係の無い話。あなたにとってその資格は、過去の物になっているはずです。わざわざ振り返る必要はありませんよね。
実際に、資格の統廃合はあります。
例えばLPICに関しても、2021年から2022年にかけて、LPIC-3 304という試験が廃止されて、LPIC-3 305とLPIC-3 306に分割されました。
筆者にも同じような経験があります。情報セキュリティスペシャリストという高度情報処理試験に合格していましたが、それから3年後の2016年10月に「情報処理の促進に関する法律」が改正されたことで、情報処理安全確保支援士という資格に変わってしまいました。
技術の進歩が早いIT業界では、常に起こり得ることです。
なので、「いずれ廃止されてしまうのではないか?」とか、「LPICはダメでLinuCでないと転職できないの?」と心配する必要は無くて、今必要な知識が学べてそれを活かせるならば、どんな資格でも勉強する価値があるのです。
ましてや、LPICはインフラ系エンジニアを目指すのに有効な資格。取得にはメリットしかない資格なのですから、迷っているぐらいならば手を動かしちゃいましょう!ということなのですね。
資格は、しがみ付くのではなく利用するもの。
そのように考えられれば、資格が廃止される不安も治まるのではないでしょうか。
LPICは廃止されません!安心して学習してください
この記事では、LPICが廃止されるのか心配な方に向けて、その心配はありませんよ、ということをお伝えしました。
業界内での評価も高い資格ですので、インフラエンジニアやクラウドエンジニアへの転職を目指している方は、ぜひ取得をご検討ください。
IT業界は進化の早い業界です。LPICに関わらず今後も資格の統廃合や、新しい技術に対応した資格も生まれるはず。資格の肩書きに囚われて変化を不安視してしまっては、結局何も始められなくなってしまいますよね。
クラウドエンジニアになってやりがいのある仕事をしたいとか、収入をアップさせたいといった目的のためには、資格の勉強は有効です。知識を体系付けて学べること、そして転職の際の評価になるからです。
ただ、大事なのは資格を取ることではなくて、転職をしたあと。実務の中でスキルアップすることが、やりがいのある仕事や収入アップへとつながります。
そのきっかけとなるクラウドエンジニアへの転職には、LPICの取得は役に立ちます。
安心して、お勉強を頑張ってください!