SESとSIerの違いとは?仕事内容や給与、将来性の違いを解説!

ITエンジニアの雇用先としては、SES(エスイーエス)のほか、SIer(エスアイアー)も一般的です。そのため、現在SESで働いている方には、このままSESで行くのか、それともSIerに転職するのかを一度よく考えてみることを推奨します。

ちなみにSESとSIerには、どちらか一方が良いということはありません。希望する仕事内容やキャリアプラン、人生観などによって、SES向きかSIer向きかが変わってきます。

この記事では、SESとSIerの違いを、仕事内容や給与、将来性など、さまざまな点から論じます。以下の内容を、自分の5年後のキャリアを考えるうえでの参考にしてください。

Contents

SESとは?

SES(エスイーエス)とは、クライアント企業へITエンジニアの労働力を提供し、対価を受け取る契約形態のことです。「System Engineering Service(システム エンジニアリング サービス)」の略で、日本語では「客先常駐」と呼ばれます。

SES企業の社員は、クライアント企業へ出社し、そこでシステムの運用・保守をはじめとするさまざまな業務を担当します。案件は半年〜2年くらいの頻度で変わるため、SES企業に数年勤めれば、幅広い経験を積むことが可能です。

SESと派遣との違いは?

SES(客先常駐)は、クライアント企業へIT人材を送り込んで対価を得るビジネスモデルなので、「派遣」に似ていますが、厳密には違います。SESと派遣の大きな違いは、クライアントに指揮命令権があるかないかです。

派遣契約の場合、クライアントはやってきた労働者に対して指揮命令ができます。一方、SES契約(準委任契約)の場合、クライアントに指揮命令権はありません。やってきたエンジニアに対して、細かく作業の指示を出したり、労働時間を管理したりすることは不可能です。SES社員への指揮命令権は、あくまでSES企業が持っています。

万が一、クライアント企業がSES企業を指揮命令して業務を行なった場合、「偽装請負」として罰則や行政処分の対象となる恐れがあります。

SIerとは?

SIer(エスアイヤー)とは、システム開発やインフラ構築などの業務を請け負うIT企業のことです。情報システムの設計・開発を意味する「System Integration」から派生した和製英語「System Integrator(システム インテグレーター)」を略してこう呼びます。

SIerは、90年代に生まれた日本独自の企業形態です。不況で多くの日系企業がITに手を出せないでいた中、外注先としてSIerが現れたことで日本はIT化したといわれています。

SIer企業の社員は、営業担当が取ってきたさまざまな案件を自社内でこなします。プロジェクトの内容は都度変わっていきますが、出向するわけではないので、社員やチームの顔ぶれは基本的にずっと同じです。

SIerの代表的な5分類

SIerは、会社の成り立ちや事業の形態によって、以下の5種類に分類できます。一口にSIerといっても、どの種類に転職するかで仕事内容が変わる可能性があるので、以下を参考にそれぞれの特徴を理解しておきましょう。

1. メーカー系SIer

メーカー系SIerは、日立製作所や富士通、NECなど、IT関連機器のメーカーを親会社に持つSIerです。主に親会社やグループ会社から依頼を受け、メーカーのハードウェア製品を組み合わせた提案やシステム開発を行います。

メーカーが受けた大規模プロジェクトの一部を担当することも多く、公共事業などにも携わることが可能です。ただし、要件定義や機能定義といった上流工程は、親会社が中心となって行うので、希望によってはミスマッチが生じるかもしれません。

2. ユーザー系SIer

ユーザー系SIerは、商社や金融、製造といった一般企業の情報システム部門から誕生したSIerです。NTTデータや野村総合研究所、伊藤忠テクノソリューションズが代表例として挙げられます。

ユーザー系は、メーカー系と同様に、親会社からの流れで仕事をすることもありますが、ほかの一般企業から案件を請け負うことも多いです。とくに商社系の会社だと、親会社のコネクションを活かし、幅広い業種と関わります

3. 独立系SIer

独立系SIerとは、親会社を持たず、システムインテグレーションに特化して事業を展開する単独の企業のことを指します。大塚商会やオービック、日本ユニシスなどが有名です。

独立系SIerは、業種を問わず、さまざまな外部の企業から案件を受注します。親会社の意向や製品に縛られず、クライアントの意に沿った自由な仕事ができることが独立系の強みです。ただし、強力な親会社を持たないため、経営は安定しにくく、メーカー・ユーザー系に比べると給与水準が低い傾向にあります。

4. 外資系SIer

外資系SIerは、日本オラクルやアクセンチュアといった外国資本のSlerです。グローバルに事業を展開しており、海外企業のシステム開発なども請け負います。

外資系Slerに勤めるには、エンジニアとしてのスキル以外に語学力も必要ですが、その分給与水準は日系のSlerよりかなり高いです。成果主義が主流であり、若くても実力があって結果を出せば、高年収を得られます。

5. コンサル系SIer

コンサル系SIerは、企業の経営課題をITで解決するためのさまざまな提案をすることに特化したSIerです。すでに登場したユーザー系の野村総合研究所や外資系のアクセンチュアなどが、コンサル系にも分類されます。

SIerは基本的にクライアントの要望通りに設計や開発をしますが、相手が一般企業の場合は、専門性がないために適切な要望が出せない場合もあります。とくに昨今はDXがトレンドになっていることもあり、「ITはよくわからないが、システムを入れて生産性を上げたい、コストカットしたい」といったニーズも多いです。

そのため、「どのようなシステムを導入すべきか」という提案からしてもらえるコンサル系の需要は大きいといえます。なお、コンサル系の仕事は、提案をはじめとする上流工程がメインであり、実際に現場で開発や構築に携わることは多くありません。

SESとSIerの仕事内容は違う?

SESとSIerでは、仕事内容がかなり違います。SESは、現場に出て開発や構築、運用といった下流工程の作業を担当することが多いです。手を動かしてコードを書いたり、テストをしたり、まさしく「技術者」や「職人」といったイメージでしょう。

一方、SIerでは、SESのように下流工程の作業を担当することももちろんありますが、上流工程に関わることも可能です。具体的にはシステムの要件定義や設計のほか、クライアントへの提案・交渉にも携われるチャンスがあります。そのため、将来的にはプロジェクトマネージャーやITコンサルタントなどのキャリアにも進めます。

なお、SESとSIerの仕事内容は違えど、どちらが優れているとは一概にはいえません。給与面での優劣はあるものの、とくに「やりがい」の点では、各人の性格や好み、目指すキャリアなどによって適性が変わります。以下の内容を参考に、自分にはどちらの仕事のほうが向いているかをぜひ考えてみてください。

SESは客先でルーティンワーク(作業)に従事する

SES(客先常駐)のエンジニアは、客先に赴き、具体的な作業に従事することが多いです。例えば、計画書を見ながらコーディングをしたり、データベースを作成したりといったことを行います。

またシステムやインフラの運用保守に携わることも多いです。そもそもシステムやインフラは客先にあるわけなので、運用保守の業務は必然的にSESの仕事となります。

SESの場合、半年〜2年でプロジェクトが変わるまでは、ずっと同じ性質の業務をこなすのが基本です。そのため、一つのことにずっと集中できる性質の人、ルーティンワークを好む人などに向いています。

SESは労働時間が短め!定時で帰れることが多い

ITエンジニアは多忙というイメージがあるかもしれませんが、SES­の社員は定時で帰れることが多いです。

SESのエンジニアは「平日◯時から×時まで弊社にいて、これこれの作業をしてください」といった契約になっています。納期や成果物の完成などは契約に含まれていないため、プロジェクトの状況によらず、基本的に時間が来たら帰れます。

またSESのエンジニアが従事するのは、システムの運用保守をはじめとするルーティンワークなので、業務の性質上、そもそも残業が出にくいです。さらにクライアント企業は、SESから時間単位で労働力を買っているため、経費節減のために残業をさせたくないという事情もあります。

一方、SIerでは納期までに成果物を完成させなければならず、SESのようにはいきません。SIerの社員には、長時間労働を余儀なくさせられることもしばしばあります。

よって、ワークライフバランスを実現し、無理なく働くことを希望する人は、ずっとSES­でキャリアを進むのもおすすめです。

SESなら現場で「エンジニアらしい」仕事ができる

SESで働くメリットは、コードを書いたり、システムやインフラを動かしたり、エンジニアらしい働き方ができることです。

エンジニアの仕事には上流工程と下流工程がありますが、上流のほうが下流より良いということでは決してありません。実際にモノを作ったり動かしたりできるのは下流なので、下流のほうが面白いと感じる人も多いでしょう。

事実、「やっぱり第一線の現場でエンジニアとしてのスキルを追求したい」といって、SIerの管理職からSESへと転職した人もいます。そのため、いつまでも技術者や専門職としてこだわりを持って仕事をしたいなら、ずっとSESのまま行くのもおすすめです。

SIerでは「上流工程」にも関われる可能性が高い

SIerは、企業から一連の案件を請け負うので、要件定義や設計といった上流工程にも関われる可能性があります。SESだと上流工程に携わるのは難しいので、この点はSIerに転職する大きなメリットです。

とはいえ、SIerにも元請けと下請け(2次請け、3次請け)といった階層があります。多くの場合、ひとつのSIerが要件定義から運用保守までの全部を担当するのではありません。元請けが要件定義、2次請けが開発や構築、3次請けがテストといったように、段々と仕事が移っていく形式が主流です。

SIerでも、2次請けや3次請けの会社だと、仕事内容がほとんどSESと変わらない可能性もあります。実際、2次請け・3次請けのSIerは、SES社員の主な勤務地のひとつです。

そのため、上流工程に関わりたい場合は、SIerの中でも企業選びにこだわることをお勧めします。

SIerは長時間労働になりやすいのがデメリット

SIerは、納期までに成果物を納品する請負契約で仕事をするので、長時間労働になりやすいです。プロジェクトの難易度が高くて全然進まなかったり、一度に複数の案件を取りすぎたりすると、必然的に残業が多くなってしまいます。

また直請け(元請け)の場合は、お客様と直接関わることになるため、コミュニケーションに気を使う部分も多いです。お客様から無茶な要望を出されることも珍しくないため、プレッシャーやストレスも比較的大きいといえるでしょう。

以上より、SIerはワークライフバランスの実現には向いていません。仕事とプライベートを充実させたいなら、定時で帰れるSESのほうがおすすめです。

マネジメントやコンサル方面のキャリアパスもある

SIerに入ると、プロジェクトの責任者として、納期や品質、価格などを管理するプロジェクトマネージャー(PM)の仕事も経験できるチャンスがあります。プロジェクトマネージャーとして経験を積み、成果を上げれば、開発部門の部長や事業部長など、管理職へのキャリアも開けます。

また顧客に対してさまざまな提案をすることもSIerの事業領域なので、ITコンサルタントを目指すことも可能です。このように、一技術者の枠を超えた働き方を希望する場合には、SIerへの転職は有意義だといえます

一方、コマンドやプログラムを叩くエンジニアっぽい仕事をずっと続けたいなら、SESで専門技術を追求するのもよいでしょう。

SESとSIerの給与がいいのはどっち?

結論からいうと、SESとSIerで給料いいのはSIerのほうです。理由はいろいろありますが、わかりやすいものとして企業規模が挙げられます。

SES企業は、大企業もあるものの、多くは中小企業や零細企業です。そのため、一般企業と比べれば高いですが、IT企業の中では給与水準が低い傾向にあります。

一方、SIerには、プロジェクト全体を受託できるだけのパワーを持った中規模・大規模の会社が多いです。そのため、売上高の額も大きく、SESに比べると金回りが良いです。

とはいえ、SIerは稼げてSESが稼げないというわけではありません。昨今は「高還元SES」というキーワードも登場しており、実力や会社選びによっては、SESでも高収入が期待できます。

SESの年収は「5年目で400万円前後」が相場

SESの年収は300万円前後からスタートして、3年目で350万円前後、5年目で400万円前後になるといわれています。調査データに基づく数字ではありませんが、どの業界関係者に聞いても大体このくらいです。

また5年目以降の年収の推移としては、7年目で450万円、10年目で500万円。15年働いて役職がつけば、最高600万円といったところでしょう。インターネットでは「500万円が限界?」「700万円を目指す」といった文言が踊っており、SESで年収500万円を超えれば、かなり稼いでいる部類だといえます。

後述の通り、SIerの平均年収は452万円であり、500万円以上を稼ぐ人もたくさんいるので、SESの給与水準は低めです。

最近良く見かける「高還元SES」って?

2022年以降、「高還元SES」という言葉が、一つのトレンドワードになりつつあります。高還元SESとは、端的にいうと「稼げるSES」のことです。

例えば、SES企業がクライアントから受け取る単価のうち、何%が働いたエンジニアに渡るのかを示す数値を還元率といいます。例えば、一人あたりの単価が月100万円だったとして、エンジニアの月収が50万円であれば、還元率は50%です。

従来、SESの還元率は50%前後が主流でしたが、昨今は65〜80%くらいまで還元する企業が出てきています。これが高還元SESです。

どうして高還元にできるのか?

高還元SES­が、なぜ高い還元率を実現できるのかというと、積極的なコストカットに取り組んでいるからです。具体的には、営業やバックオフィスの規模を縮小したり、テレワークを増やして事業場にかかる固定費を削減したりといったことをしています。

従来型のSESに比べて、かかる経費が少ないため、社員により多くの給料を支払うことができるのです。

高還元SESは給料が高く、自分の単価も知れる

高還元SESは、普通のSESより還元率が高い分、当然給料も高くなります。この点が、高還元SESに転職する一番のメリットです。

また会社にもよりますが、還元率が開示されていれば、給料から逆算して自分の単価を知ることもできます。単価を知ることは、自分の価値を客観的に確認するとともに、フリーランスへの転身も含めてキャリアチェンジについて考える良いきっかけになります

働き方の自由度が高いことも高還元SESの魅力

高還元SESでは、コスト削減のために営業や管理部門が縮小されていることもあり、働き方の自由度が高めです。

例えば、多くの場合、案件は自分で選ぶことができます。仕事内容はもちろん、時短やフルリモートの条件面も含めて、好きな仕事に従事することが可能です。会社によっては「営業は自分でしてください」というところもあり、このレベルになるとフリーランスに近い働き方といえるでしょう。

実際、企業によっては副業を認めていたり、独立を支援する制度があったりと、フリーランスへの転職を意識しながら働くにも良い環境です。

高還元SESに転職するためのポイント

高還元SESに転職するためのポイントは、ひとえに自分のエンジニアとしての価値を高めることです。上述の通り、高還元SESにはフリーランスに近いようなところがあるので、実力があれば採用もされるし、活躍もできます。

実力をアピールするためには、まず自走できるだけの十分なスキルを身につけること。あとはリーダーや設計の経験があると、採用現場で加点材料になるといわれています。

キャリアプランとしては、普通のSESで実務経験を積んで専門性を高め、高還元SESに応募するのが王道でしょう。またSESから一旦SIerに転職し、上流工程やマネジメントを含めて幅広く経験してから、高還元SESに再転職するという選択肢もあります。

高還元SESに転職する際の注意点

高還元SESを選ぶ際は、給与の算定方法に注意しましょう。還元率の考え方(還元分にどれだけの経費を含めるか)が各社でバラバラなので、還元率は同じでも手取りがずいぶん変わってくる場合もあります

よって、高還元SESを複数社比較する場合は、還元率ではなく手取りの金額を比べるのもおすすめです。

そのほか、社風や勤務スタイルなども各社で異なるので、給与だけを見るのではなく、総合的に良し悪しを判断するのがよいでしょう。

SIerの平均年収は452万円!700万円超えも可能

dodaが2021年12月に公表した「平均年収ランキング」によると、SIer(システムインテグレータ)の平均年収は452万円です。また年代別の平均年収は、以下のように発表されています。

SIerの平均年収(年代別)
20代377万円
30代521万円
40代634万円
50代724万円

出典:doda「平均年収ランキング2021」

上記の通り、SIerでは30代から500万円を超える稼ぎが期待できます。SES­だと10年働いても500万円を超えるのは難しいので、やはりSIerのほうが平均年収は高いです。

またSIerに転職すると、プロジェクトマネージャー(PM)やITコンサルタントのキャリアパスも描けると先述しました。エンジニアからそれらへキャリアアップすれば、以下で紹介するように更なる高収入も望めます。

PMやITコンサルの平均年収は650万円ほど

求人ボックス 求人ナビによると、プロジェクトマネージャーの平均年収は644万円、ITコンサルタントの平均年収は650万円です。

いずれも月給で54万円ほどもらえる計算であり、世間相場と比較するとかなりの高収入だといえます。よって、給料の高さを重視するなら、SIerに転職し、マネジメントやコンサルティングの分野でキャリアを築いていくのもおすすめです。

SESとSIerの将来性は?

最後にSES(客先常駐)とSIerの将来性について論じます。以下の内容を、ぜひこれから先のキャリアを考えるうえでの判断材料にしてください。

SES・SIerともに将来性は十分にある

全体としては、SES・SIerともに将来性は十分にあるといえます。近い将来にSESやSIerがなくなるといったことは、ほぼ確実にないでしょう。

IT分野は、今や全業種を代表する成長産業です。DXや働き方改革、AI、5G通信などの影響もあり、少なくとも2030年ごろまでは安定した需要が続くとされています。

そのため、SES企業であれSIer企業であれ、IT業界にいる限り、ほかの業種に比べて将来の見通しは良いといえます。問題となるのは、個別的に見て、各企業が生き残れるかということです。

どちらも人手不足と多重下請けが課題

SESとSIerに共通する課題は、人手不足と多重下請けの構造です。

まず人手不足については、エンジニア個人にとっては働き口がたくさんあるので良いことかもしれません。しかし、企業にとっては、社員を集めるのが難しいという意味で、死活問題です。やがて人手不足がより深刻になれば、M&Aを含めた企業の淘汰や業界再編といったことにもなり得るでしょう。

またSESにもSIerにも、多重下請けの構造ができており、直請け・元請けでやれているのは一部だけです。2次・3次請けならまだしも、4次・5次・6次といったこともあり、下に行くほど給与水準は下がり、仕事も単純なものになっていきます。そのため、どこかでこの構造が変わらない限り、下位の企業が生存し続けるのは難しいでしょう。

SIerには人材流出やクラウドの台頭といった問題も

上記に加えて、SIerには優秀な人材が流出しやすいという問題もあります。SIerは、どちらかというとマネジメント系の仕事が多く、請け負いの階層が上の会社ほど、現場でエンジニアのスキルを磨く機会は限られています。

そのため、とくに技術者の志向が強く人は、スキルアップができないといってSIerを離脱しがちです。また管理部門のほうで実力をつけた人のなかには、転職や独立で大きなキャリアアップを狙う人もいるため、やはり人材が流れてしまいます。

さらに昨今は自社でシステムを持たなくても利用できるクラウドサービスが普及してきており、相対的にSIerの需要は下がりつつあります。ニーズが激減することはないはずですが、弱い企業は淘汰されやすくなっていくでしょう。

生き残るのは競争力のある企業だけといえる

SESもSIerも総体としては見通しといえますが、各企業の将来性がそれぞれ担保されているわけではありません。人手不足やその他さまざまな要因により、今後は競争力のある企業だけが生き残り、弱い企業は吸収されたり倒産したりといった動きが活発になってくるのではないでしょうか。

そう考えると、将来性のある企業は、現時点で強い力を持っている大企業と、ポテンシャルのある中小企業およびスタートアップだけといえるかもしれません。

エンジニア個人としては「会社選び」と「実力」が肝心

エンジニア個人としての将来性を考えるならば、会社選びが絶対的に重要です。極端な話、潰れそうなブラック企業に入ってしまったら、将来は一気に危うくなります。

転職する会社は、SESであれSIerであれ、優良企業がおすすめです。具体的には「給料が高い」、「ある程度希望が通る」、「社員を大切にする」といった特徴を持つ会社に入るのが良いでしょう。

また努力して実力を磨くことも肝心です。実力さえあれば、たとえ会社が倒産しても、どこかに雇ってもらえるでしょう。そのため、例えば、SESだったら専門技術を極めたり、SIerならマネジメントやコンサルの経験を積んだりと、自分の価値を高める取り組みをすべきです。

SESから高還元SESに転職したり、SIerからITコンサルタントとして独立したりと、自ら積極的に行動していくのも良いでしょう。

SESとSIerの違いは主に仕事内容と給料

働き手の目線からだと、SESとSIerの大きな違いは、仕事内容と給料だといえます。この2つを主に検討し、自分にとってどちらが良いのを判断するのがおすすめです。

SESは、エンジニア(技術者)らしい仕事をずっとしたい方に向いています。給料がIT業界の中では低めですが、最近は「高還元SES」なども出てきており、一般企業に比べると十分に高給です。

一方、マネジメントやコンサルも含めて上流工程を経験したい方は、SIerに転職するのも有意義でしょう。SIerはSESに比べると労働時間が長くて仕事は大変ですが、その分、給料はたくさんもらえます。

なお、SES・SIerともに、将来性があるのは競争力のある優良企業だけなので、どちらに進むにせよ、企業選びにこだわることが肝心です。

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