SESエンジニアの平均年収は?上げるには?給料の限界値についても検証【500万・600万・700万】

SESエンジニアとしてしばらく働いてみて、一番気がかりなことは「年収」ではないでしょうか。「このまま勤めていて年収は上がるのだろうか。早々と転職すべきなのか」と悩んでいる人も多いはずです。

そこで今回はSESエンジニアの年収事情について、詳しくわかりやすく紹介します。平均年収や中央値をお伝えすることはもちろん、理論的な限界値や給料を上げるためのコツも解説するのでぜひ参考にしてください。

SES企業の平均年収は?

以下では、SES企業の平均年収について、推移や限界値などを紹介します。SESの年収について正確な統計データはありませんが、こちらは多数の業界関係者の意見をまとめたものなので、信ぴょう性は高いといえます。

未経験1年目は270万円〜300万円ほどでスタート

まずIT未経験からSESに転職する場合、ないし新卒でSESに入る場合、1年目の年収は300万円前後です。270万円〜300万円くらいのことが多いですが、学歴や企業などによって250万円〜350万円くらいの開きがあります。

以後の推移については次項で詳しく解説しますが、2つ目の口コミにあるように、3年目で350万円、5年目で400万円ほどになるのが一般的です。よって、例えば25歳でSESに転職した場合、30歳になる頃には年収が400万円前後になっているでしょう。

年収500万円〜600万円前後が限界と言われている

<未経験からSES入社後の年収推移>

  • 1年目  250万円〜300万円
  • 3年目  300万円〜350万円
  • 5年目  350万円〜400万円
  • 7年目  400万円〜450万円
  • 10年目 450万円〜500万円
  • 15年目  500万円〜600万円 
  • 以降  450万円〜600万円

上記の通り、SESエンジニアの年収は、入社から5年目で400万円、7年目で450万円に届くかといったところです。勤続が15年以上になり、役職も付けば、500万円〜600万円も目指せるでしょう。役職がなければ、15年目以降は500万円前後から年収が徐々に落ちていくことも考えられます。

いずれにせよ、SESエンジニアの年収は、平均的に見れば500万円〜600万円ほどが限界です。それ以上も目指せますが、確率を考えれば現実的ではありません。

またSESでもらえる年収の平均値ないし中央値は、400万円〜450万円程度です。よって、SESの年収は、IT業界の中で比較すれば、低いといえるでしょう。

ちなみにIT業界以外の一般企業と比較した場合、SESの年収は世間並みと同等か、やや高めの水準だといえます。

SIerや自社開発のほうが100万円〜200万円ほど高い

SESに比べると、SIerや自社開発のほうが年収の水準は高いです。SESだと600万円を超えるのは難しいですが、両者なら700万円超えも一般的といわれています。

SIer(システムインテグレータ)の平均年収は、458万円とされています。詳細は以下の通りです。

<システムインテグレータの平均年収>

年代平均年収
20代384万円
30代520万円
40代648万円
 50代〜742万円
全体458万円

出典:doda「平均年収ランキング(更新日:2022/12/19)」

上記の通り、SIerなら年収600万円ないし700万円も普通に目指せます

自社開発の年収については、統計データがありませんが、業界関係者の声を聞く限り、SIerと同じかそれ以上の水準です。自社開発の企業なら、年収800万円超えも目指せるでしょう。

以上より、純粋に年収の金額を上げるという観点では、SESよりもSIerや自社開発のほうが適切です。

残業時間を考えるとSESのほうが割は良いかも

SESは年収の水準こそ低いですが、ホワイト企業に入社すれば、残業がかなり少ないです。ほぼ定時で帰れて、なおかつ年収400万円〜450万円前後がもらえると考えると、割は良いといえるでしょう。

一方、SIerは常に納期があるので残業が多く、長時間労働になりやすいと言われています。自社開発の企業についても、告知されたリリース日までに仕上げなければならない場合には、残業が続くこともあります。

残業なしで年収450万円を稼ぐのか、ほぼ毎日残業で年収600万円を稼ぐのか。どちらが良いかは、それぞれの価値観によるでしょう。「家族との時間を大切にしたい」「勉強や副業も頑張りたい」といった人には、むしろ年収の低いSESのほうが合うかもしれません。

最上位のSESエンジニアは年収700万円超えも

SESエンジニアでも、上位数%になると年収700万円を超えてきます。そのため、SESの世界でもSIerや自社開発に準ずる高収入を実現することは可能です。

ちなみにSESで年収700万円を超えるには、最大手の企業か「高還元SES」に転職するのが望ましいといえます。要するに給与水準の高い超優良企業で勤めるということです。よって、エンジニアとしてのスキルを磨き、自らの人材としての価値を究極まで高めることが重要になります。

SESの単価に対する給料の割合(還元率)について

SESエンジニアの給料は、大まかにいうと「単価×還元率」で決まります。単価はSES企業が客先から受け取る金額です。還元率は、客先から受け取った単価のうち何割が社員に渡るかという割合を指します。

SESの単価は、月55万円〜65万円ほどが相場です。還元率は大体5割〜6割と言われています。単価が月60万円とすると年間では720万円、そのうち5割5分が社員に還元されるとして年収396万円というのがSESの平均的な水準でしょう。

大手に転職すると単価が上がる

大手のSESに転職すると、取引先も一次請けのSIerなど大手になってくるので、必然的に単価が上がります

例えば、平均55万円〜65万円だったのが、70万円〜80万円に上がると考えましょう。月80万円だと年間では960万円、そのうち5割〜6割がエンジニアに還元されるので、年収は480万円〜576万円。平均的に見て、SESの年収の限界が500万円〜600万円というのは、まさしくこの試算が示す通りです。

高還元SESでは還元率が上がる

昨今、「高還元SES」というキーワードが、SESの世界で一つのトレンドになっています。高還元SESとは、その名の通り、社員への還元率が高いSES企業のことです。

例えば、通常5割〜6割の還元率のところ、高還元SESでは7割〜8割が還元されるとしましょう。単価が月60万円として年間で720万円、そのうち7割〜8割が社員に還元されるとすると年収は504万円〜576万円です。こちらの試算でもやはりSESの限界値と言われる年収500万円〜600万円の範囲に収束しました。

ちなみにSESで年収700万円超えというのは、大手と高還元SESを掛け合わせた究極的な数字です。単価が80万円で、なおかつ還元率が7割5分であれば、年収は720万円となり、700万円を超えます

以上より、SESとして追求できる年収の上限は700万円〜800万でしょう。それ以上は「単価×還元率」というSESの構造上難しいといえます。例を出すと、年収1,000万円と仮定するなら、還元率を8割と仮定しても単価104万円強が必要です。そのため、最大手で、なおかつエンジニアとしてのスキルも完璧というのでもない限り、年収1,000万円には届かないと考えられます。

SES企業の年収はなぜ低いのか?

SESの年収が、SIerや自社開発などと比べて相対的に低いのには、以下のような理由があります。理由は大きく「構造上の問題」「会社の問題」「個人の問題」に分類することが可能です。

成果ベースの契約でないから稼ぎに限界がある

SESは送り込んだエンジニアの稼働時間に応じた報酬を受け取るというビジネスをしています。単価を決めるのはあくまで稼働時間であり、成果ではありません。このビジネスモデルがそもそも稼げないというのが構造上の問題です。

例えば、SIerはクライアントに成果物を納品する請負契約を結びます。単価は成果物によって決まるため、究極的に言えば、莫大な経済効果をもつ成果物であれば、1億円で請けることもできるわけです。

一方、SESは「IT人材が足りないところにヘルプを出す」といったビジネスなので、単価は「お給料+手数料」のレベルに収束します。よほどのことがない限り、ヘルプの人材に何千万円、何億円と出す会社はないでしょう。

以上のように、SES企業は構造上、大金を稼ぐことが難しいため、社員の給料も低くなる傾向にあります

勤める会社の商流が深すぎる

商流とは、「クライアント→元請け→2次請け→3次請け→…」という発注の流れのことです。下請けが何層にもなることを多重下請けといい、これがSESとSIerに共通する問題となっています。

商流が深くなればなるほど、具体的には4次請け、5次請けと下請けが進んでいくほど、単価は下がっていきます。そのため、商流が深いところでしかビジネスを展開できない会社に勤めていれば、いつまで経っても給料は上がりません

一方、1次請けはもちろん2次請け、3次請けのSIerに出向できるようなSESに入れれば、商流が浅い分、年収も高くなると考えられます。

会社のピンハネがひどい(還元率が低すぎる)

会社の問題としては、商流が深いことのほか、還元率が低いことも挙げられます。いわゆる会社によるピンハネの問題です。

例えば、単価が月60万円だと、エンジニア一人の働きに対して年間720万円のお金がSES企業に入ります。一般的なSES企業では、そのうち5、6割を社員に還元してくれるので年収は400万円前後となります。しかし、仮に還元率が3割だとすると、年収は216万円まで落ちてしまうわけです。

そのため、会社自体が貧乏かと思いきや、実はピンハネされているから給料が低いケースもあるかもしれません。よって、あまりにも給与水準の低すぎる場合は、早々に転職して還元率の高い企業に移るのもおすすめです。

スキルが低すぎて高い案件にアサインされない

自分のITエンジニアとしてのスキルが低すぎて、高単価の案件に割り当ててもらえないことも考えられます。スキル不足が原因の場合は、頑張って勉強してレベルアップするしかありません。現状のままで転職しても、スキルをアピールできない以上、年収アップは難しいでしょう。

参考書や勉強サイトはもちろん、昨今は現職者向けのスクールも展開されているので、自分に合ったツールを活用しつつ、今一度スキルアップに力を入れてみてください

SES企業で年収を上げるには?

SESの世界で年収を上げるには、端的にいえば「スキルや経験値を高める」「いい会社に転職する」の2つを実践するのがおすすめです。具体的には以下に挙げる事柄をお試しください。

とにかくスキルを磨くことが肝心

SES業界でのキャリアアップには、徹頭徹尾、スキルを磨いて自らの人材価値を高めることが肝心です。最初の会社で評価され昇給するためにも、転職で良い会社から内定をもらうためにも、スキルアップが欠かせません

そのため、業務の範囲にとどまらず、興味のあることや需要のありそうなことをどんどん勉強し、スキルを高めましょう

高還元SESに転職する

現職である程度スキルを磨き、経験を積んだら、還元率の高い高還元SESへの転職を試みましょう。先ほど紹介した通り、還元率が1、2割上がることで、年収は100万円以上高くなります。そのため、手っ取り早く年収を高めるには、高還元に転職するのがおすすめです。

ちなみに高還元SESは、営業部門や管理部門を縮小したり、その他固定費を削減したりして、還元率を限界まで高めています。それゆえ、フルリモートや案件を選べるケースも多く、フリーランスに近い働き方を実現することも可能です。

リーダーや上流工程を経験するのが望ましい

リーダーや上流工程の経験を積むことも、自らのITエンジニアとしての価値を高めることにつながります。そうした経験を積むには、商流の浅いところに位置し、1次請け、2次請けのSIerでも働ける優良企業に転職するのが良いでしょう。

とくにいつまでも商流や仕事内容が変わらず、経験値が蓄積できない場合には、転職して仕事をレベルアップするのがおすすめです。

最大手への転職を目指す

年収500万円〜600万円、ないしは700万円超えといった限界値をSESで追求するには、最大手に転職するのがベストだといえます。単価と還元率がともに高い企業に勤めることができれば、年収は飛躍的に上がるはずです。

そのため、ここまで解説してきた通り、スキルを高めることやリーダーおよび上流工程の経験を積むことが重要になります。

SESエンジニアの将来は?

SESエンジニアの将来は、SESエンジニアとしてそのままキャリアアップするか、ほかの分野に進出するかの2通りです。具体的には以下のようなキャリアプランが考えられます。

ホワイトなSES企業で安定した年収を得る

一つの将来は、SESエンジニアとしてスキルアップして優良なSES企業に収まり、安定した年収を得ることです。このプランのメリットとしては、残業が少なく、ワークライフバランスを実現しやすいことが挙げられます。家族との時間や趣味の時間などを大切にしたい人に良いでしょう。

またSES業界にとどまることには、ずっとエンジニアらしい仕事を続けられるという魅力もあります。他のプランでは管理部門の方面に関心が移っていくことが多く、現場で技術者としてのスキルを追求したい人にはSESが最適です。

マネジメントやコンサルの分野でキャリアアップを目指す

SESエンジニアには、プロジェクトマネージャーやITコンサルタントなど、分野を少し変えてキャリアアップを目指す将来もあります。このプランのメリットは、第一600万円を超える高い年収を目指せることです。

またプロジェクトをまとめたり、顧客と対面して提案をしたり、一エンジニアの枠を超えた仕事ができることも魅力でしょう。プロジェクトマネージャーやITコンサルタントへのなり方としては、例えば、SIerに転職して専門分野で経験を積むことが挙げられます。

自社開発企業のSEになって高収入を実現する

年収を追求するのであれば、自社開発企業への転職もぜひ検討してみてください。業界関係者の声を聞く限り、自社開発は年収の水準が高く、転職による年収の伸び率もかなり大きいようです。

とくにITエンジニアとして年収700万円や800万円を目指したい人には、自社開発が向いています。

SESでも高年収は目指せる!スキルと転職が肝心

SESの平均年収は400万円〜450万円ほどで、IT業界の中では低い部類です。しかし、頑張りや工夫次第では、年収500万円〜600万円、ないしは700万円くらいまでは目指せます

SESとして年収アップを実現するうえで欠かせないのは、スキルアップと転職です。スキルを磨いて人材価値を高め、単価や還元率の高い企業に転職して年収を上げるというのが正攻法だといえます。スキルアップや転職には、ぜひ現職者向けのスクールや転職エージェントなどをご活用ください。

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