SESに将来性はある?ない?業界歴1〜3年ならを知っておくべき5つのポイント

SES企業で働くエンジニアに将来性はあるのでしょうか?

IT業界やSES市場の今後、エンジニアに求められることが分かれば、キャリアパスを描きやすくなります。
就職や転職をするときに重要なのは、ホワイトなSES企業を見極められるかどうかです。

将来性がある企業かどうかを判断する5つのポイントを徹底解説。
これからエンジニアを目指す方も、既にエンジニアの経験がある方もぜひ参考にしてみてください。

そもそもIT業界やSES市場の将来性はある?

業界や働き方に将来性があるのかは、どの業種においても考える必要があります。これからエンジニアを目指す未経験の方は、分からないことが多く不安を覚えているのではないでしょうか。ここでは、IT業界やSES市場の現状とともに、IT業界やSES市場に将来性があると言われている理由を解説します。

IT業界は成長市場

現代社会において、IT技術は切っても切り離せないものとなりました。窓口業務、データ収集、データ解析、監視など、単純作業が徐々に機械に置き換わり無人化されています。

大企業だけではなく、中小企業でもITツールやアプリケーションの導入が行われています。在庫管理、勤怠管理、顧客名簿管理、社内連絡ツールで業務がより効率的になりました。ツールやアプリケーションの利用が広がっているということは、IT業界の需要があることを示しています。

経済産業省は、2018年9月の「DXレポート」公開以降、企業のDX推進を後押しすべく、企業への働きかけと、市場環境整備の両面から政策を進めました。DXデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略です。DXを推進していき、企業がIoT、AI、ビッグデータを活用することで、業務フローの改善や新たなビジネスモデルの創出だけでなく、古いシステムからの脱却や企業風土の変革を目指しています。

2025年までにデジタル企業への変革ができるよう、DXを推進しています。2020年10月時点では、DXに取り組めていない企業と散発的な実施に留まっている企業が合わせて9割以上を占める結果となりました。これからデジタル化を進めていく企業が多くある経済産業省が推し進めているDXの政策では、IT技術は業務だけではなく生活に広く浸透し人々の生活をより良くすることが目的です。

世界では、アメリカ、中国、インドもIT産業に力を入れています。日本では2020年から、小学校のプログラミングが必修科目となりました。IT技術に幼少期から触れる子ども達に基礎教育を行うことで、今後日本のIT業界はより広がっていくと考えられます。

今後、日本は官民問わずデジタル化を進めていく方針なので、IT業界の需要は増加していくと考えられます。SES案件も同様に増加していくため、SESエンジニアに将来性があるといえます。

参考:経済産業省『DXレポート2(中間取りまとめ)』

参考:情報処理推進機構『DX白書2021』

IT業界は慢性的な人材不足

2030年に、最大で79万人のIT人材不足になると経済産業省が発表をしています。現在のIT業界も、スキルのあるエンジニアが不足していることに変わりはありません。SES企業はエンジニアの労働力を、クライアントに供給するサービス形態です。SESはクライアント先にエンジニアが常駐して業務を行います。成果物の納品ではなく労働力を提供しているため、SES企業にとってはエンジニアを客先常駐させるだけで利益が得られるという仕組みになっています。

クライアントは上流工程の要件定義や設計の経験を自社の若手社員に経験させて、開発やテストの下流工程をSES企業からエンジニアを集めて行うというのが一般的です。自社社員だけで全てのプロジェクトを行うには人数が足りず、かと言って社員を雇うと簡単にクビにすることはできません。複数のSES企業からスキルを持ったエンジニアを集め、プロジェクトの繁忙期のみチームの人数を増やす方が、金銭的なコストだけではなく教育コストの削減もできるメリットがあります。そのためプロジェクトの一部を、SES企業のエンジニアが担うという形式は今後も継続していくものと考えられます。

様々な案件に携わりたい、スキルを身に付けたいという目的がある方にとっては、SESエンジニアは向いているといえます。IT業界は人材不足のため、専門的なスキルがあるSESエンジニアは重宝されます。 

参考:経済産業省『IT人材需給に関する調査(概要)

テレワークの拡大

コロナウイルス(COVID-19)は、日本のIT業界にも大きな影響を与えました。従来のようにクライアント先の企業へ出社して業務を行うのではなく、SESエンジニアも自宅でテレワークを行うことが増えました。

富士通は、オフィスを50%減らして、テレワークを基本とすると発表をしています。テレワークの導入が広がることで、クライアント先の企業が遠方の場合でも業務が行えるようになりました。テレワークで、SESエンジニアの働き方も変化しました。フレックス制の導入、時短勤務、育休、産休など、社員の働き方に柔軟に対応できることが考えられます。

IT業界の需要拡大の見込みがあり、IT人材の不足からSESエンジニアが求められる場面は多くあります。そして、テレワークで自由な働き方が実施されつつあり、ライフステージが変わる子育てや介護などのときも仕事を続けやすいのがSESエンジニアだと考えられます。

参考:富士通『ニューノーマルにおける新たな働き方「Work Life Shift」を推進

SES市場に将来性があってもエンジニア自身の将来は大丈夫?

IT業界やSES市場に将来性があるのなら安心だと簡単には言えません。エンジニア自身がスキルアップする努力はもちろん必要です。どの技術を身につければ良いのか、これから勉強するならどの分野が良いのか悩まれている方もいると思います。アプリケーション開発、AI、機械学習、データ収集やデータ解析など、分野によってよく使われるプログラミング言語は異なります。SES案件で求められるプログラミング言語を習得することは、長期的にエンジニアの仕事を続けるために必要です。具体的な分野が思い浮かんでいない方も、プログラミング言語を選択するときの参考にしてみてください。

参考:サムライエンジニアブログ『人気のプログラミング言語ランキング!編集部が3つの指標で独自に調査』

引用:『年収は「求人ボックス」、検索数はGoogle検索のヒット数、求人数は「indeed」をもとに調査』とのこと

JavaScript

JavaScriptは、Webのフロントエンド開発でよく使われるプログラミング言語です。動的なWebサイト制作には必要不可欠と言われます。Webブラウザさえあれば、プログラミングの実行結果を確認できるので難しい開発環境設定は必要ありません。そのため、プログラミング初心者も学習がしやすいと言われています。

JavaScriptの特徴

・動きのあるWebサイトを作れる

・プログラミング初心者も学習に必要な環境を整えやすい

・Web上に初心者向けの解説サイトが多くあり情報が得やすい

・独学でも学習がしやすく習得がしやすい

・Web開発に興味のある方におすすめ

Java

Javaは、業務システムやWeb開発の分野で使われるプログラミング言語です。JavaはOSを問わず動作するため、幅広い分野の開発案件で使われています。Javaはオブジェクト指向など、初心者が理解するのは難しい部分もあるため習得難易度は高めです。その分Javaを習得すれば、他のプログラミング言語の学習がしやすいともいえます。

Javaの特徴

・どんなOSでも使える汎用性の高さ

・業務システムやWeb開発など安定的に需要がある

・Javaの情報はWeb上に多くあり、ドキュメントも豊富にある

・オブジェクト指向など初心者には習得難易度が高い

・システム開発やWebサービス開発に興味がある方におすすめ

Python

PythonはAI、機械学習、Webアプリケーション開発、データ分析など幅広い分野で活用されているプログラミング言語です。AI、機械学習のエンジニア、データサイエンティストは、需要が高いのですが人材が不足しています。Webサービスの開発現場でもPythonが使用される案件が増えており、複数の分野でつぶしが効くというメリットもあります。

Pythonの特徴

・世界的に人気なプログラミング言語

・プログラミングコードや文法がシンプルで分かりやすい

・初心者も理解がしやすく習得がしやすいプログラミング言語

・書籍、オンライン教材、プログラミングスクールなど学習教材が豊富

・関数や機能をまとめたライブラリが豊富にある

・AI、機械学習、データ分析は将来性がある分野なので長くエンジニアを続けたい方におすすめ[5] 

AI、機械学習、IoTは将来性のある分野、業務システムやWebサイト開発は今後も需要がある分野です。興味のある分野のプログラミング言語を学習することも大切ですが、需要が高いプログラミング言語を学習していくことはSESエンジニアにとって必要なことです。

SESエンジニアにとって将来性のあるSES企業の特長5選!

SESエンジニアは所属する企業によって、その後のキャリアアップに大きな影響が出ます。IT業界もSES市場も需要が拡大していくなか、将来性のあるSES企業を見極めるポイントを知っていれば就職や転職の際に判断がしやすくなります。エンジニアの仕事が好き、長く続けたいと思っている方は、将来性のあるホワイトなSES企業を選びましょう。

受託、請負、自社サービスも行っている

SES事業だけでは企業成長の限界があるため、受託開発、請負開発、自社サービスなど他の事業も行っているかどうかは、将来性があるかどうか判断するポイントとなってきます。受託、請負開発事業が拡大すれば、SESではなくSIerとして大手企業の案件に上流工程から携わることもできます。自社サービスは、その名の通り自社内でプロジェクトの企画、開発、リリース、運用を行っていきます。エンジニアとしてはプロジェクトの一通りの流れを経験できるというメリットがあり、企業には利益率が高いというメリットがあります。

SES事業と他の事業を行っている企業の場合、社員それぞれの希望やキャリアプランにあわせて働き方を柔軟に変えられるメリットがあります。色々な人と仕事をしてスキルを磨きたい方にはSES、新しいサービス開発に一から携わりたい方には自社サービス、チームマネジメントの経験を積みたい方には受託や請負開発といった具合に、希望に合わせて環境を選ぶことができます。

希望するスキルを経験できる

希望しているスキルや分野の案件を受注できる企業なら、エンジニアのスキルアップにも繋がります。社員の希望や要望を伝えやすい社内環境になっているかどうか、社外からは判断するのが難しいです。案件にエンジニアをアサインする前に希望や要望を伝えられるのか、SES企業としてどの分野に強みがあるのかなど、面談のときに質問してみるのも良いでしょう。

前述した『総務省人材育成プログラム』にある、データ収集、データ蓄積、データ分析、オープンデータやビッグデータの案件を経験できるかどうかというのも判断のポイントです。人材が不足する分野に対してSES企業が力を入れているのかそうではないのかは、企業戦略や会社の方針にも繋がるため、将来性があるかどうかという判断基準にもなります。

案件の上流工程に携われる

プロジェクトの上流工程は、企画、要件定義、設計などです。上流工程を経験してプロジェクトの流れを理解する経験は、エンジニアにとって大きなメリットとなります。スキルアップという面だけではなく、上流工程の経験があるエンジニアの方が単価が高くなるからです。

SESエンジニアは開発やテストなどの下流工程の案件が多く、上流工程の経験を積めるかどうかはそのときにある案件次第です。受託開発や自社サービス事業でなくても、上流工程の経験が得られる案件があれば良いとも考えられますが、希望する上流工程の案件が受注できるとは限りません。SES事業だけではなく、受託開発や自社サービス事業を行っている場合は、上流工程からプロジェクトに携われるチャンスが高くなります。

エンジニアはプログラムコードが書ければ良いという単純なものではなく、クライアントの要望をシステムに落とし込むこと、チームのマネジメントなども必要なスキルです。上流工程の経験がなく転職した場合これらの業務をすぐに任されることはなく、受託開発や自社サービスの場合でも下流工程から携わって経験を積むことになります。SES企業で上流工程に携われるかどうかは、エンジニアのキャリアアップに大きく影響するのです。

40代以降のエンジニアが多数在籍

SES案件では若いエンジニアを対象とした案件が多く、経験の少ない若手のエンジニアは単価が安いということが理由の一つです。40代以降のエンジニアは、プログラミングスキルだけではなく上流工程やリーダー経験が求められます。求められるスキルが高くなるにつれ、単価も上がるため案件の数が若手のエンジニアに比べて少ないのが40代以降のエンジニアです。

40代以降のエンジニアが在籍しており在籍期間が長い社員が多い場合、社員に働きやすい環境を提供する企業努力をして社員を大切に扱っているといえます。上流工程のSES案件の獲得、受託や請負開発、自社サービスなど他事業も行っていて経験を活かす場が整っているからこそ、長期間在籍している40代以降のエンジニアが多いのです。自分がその企業で長く働けるかどうか考えるとき、40代のエンジニアの在籍の有無はSES企業を選ぶ上でのポイントといえます。

社員の評価制度が整っている

評価制度の基準が明確になっている場合、スキルを持ったエンジニアがSES企業に定着していきます。スキルのあるエンジニアがいれば、SES企業は単価の高い案件の獲得が増えて利益率を上げることができます。これは、SES企業が成長していくために必要なことです。SES企業が成長すれば給与として還元されるため、エンジニアの給与が高くなるというメリットがあります。

年収を高く設定していて、評価制度がブラックボックス化しているSES企業にはエンジニアは定着しにくいです。自分がどのような評価をされているか分からなければ、より良い条件の企業があれば転職をしてしまうからです。

将来性があり企業の成長が望めるかどうかは、社員の評価制度が整っているかどうかが判断のポイントとなります。

SES以外の事業も展開している企業では、上流工程から案件に携われる可能性も高くエンジニアとして経験を積んでスキルアップができます。評価制度が整っているか、社員の希望を聞き大切に扱っているかは社員の在籍期間の長さで判断ができます。SES企業を選ぶときには、これらのポイントを参考にしてみてください。

SESエンジニアにとって将来性のないSES企業の特長5選!

SES企業は将来性がないからやめた方が良いと言われますが、どのような点で判断をすれば良いのでしょうか。SES企業を選ぶときに注意しておきたいポイントを5つに分けて紹介します。就職や転職をする際に参考にして、より良いSES企業を選ぶ判断材料にしてください。

SES事業だけを行っている

SES事業をメインに行っている企業の場合は、二次請けや三次受けやそれ以下の下請けの企業の場合が多いです。開発やテストなどの下流工程の案件が多く、上流工程やリーダーを経験できるチャンスは少なくなってしまいます。

SESの場合、下請けの階層が深くなるほど単価が低くなります。SES企業は少しでも利益を出すために、エンジニアが既に経験している技術を扱う案件を探します。似たような案件にアサインされ、スキルも得られずただ年数ばかりが経ってしまうことにもなりかねません。

エンジニアの客先常駐だけ、プロジェクトに1人で参加、受託開発や自社開発をしていない場合、なぜSES事業だけを行っているのかをきちんと確認する必要があります。

派遣免許やISMSなどの免許や資格を取得していない

派遣免許がないSES企業は絶対にNGです。SESは人材ビジネスでもあり派遣免許がない場合、企業が違反派遣をしている可能性があります。

Pマーク(プライバシーマーク)やISMSを取得していない企業は、セキュリティ意識が低く情報管理に不安があると外部から思われるため、大手企業との取引はできません。大手企業と取引できない企業は、下請けの階層がより下がりエンジニアの単価やスキルアップも難しくなります。

将来性のあるSES企業は、最低限持っている資格と免許なので企業のWebサイトなどで必ず確認をしてください。

平均年収が他社に比べて明らかに低い

SES企業は二次請け以下となるため、中間マージンを取られます。二次請けよりも商流が下がっていく度に、SES企業に入る金額は下がっていきます。企業への在籍年数が高くても単価や給料が上がらない場合、SES企業が下請け過ぎるということも考えられます。

経済産業省が発表した『IT関連産業の給与等に関する実態調査結果』のデータを元に、25歳から55歳まで働いた生涯賃金を計算し、標準水準を平均とするとエンジニアの平均年収は542万円となります。

上記の平均年収よりも極端に給与が低い場合は、将来性のないSES企業の可能性が高いです。給与が安いとスキルを持ったエンジニアが定着せず、離職率が高くなってしまいます。40代、50代になってからは転職がしにくくなるため、転職をする場合は早めの行動も必要です。

参考:経済産業省『IT関連産業の給与等に関する実態調査結果

希望や要望を伝える環境が整っていない

自分が経験したいスキルや要望を、企業へ伝える環境はきちんと整っているでしょうか。希望の案件や要望を企業が聞いてくれない場合、自分のキャリアプランを立てることができずスキルアップもできなくなってしまいます。企業の都合で案件が決まりプロジェクトにアサインされるため、実際にやりたいことと全く違う業務をしなければいけない可能性が高くなります。

若手の社員が何年もコールセンターやヘルプデスクでサポート業務を担当していたり、営業、事務、販売員などITスキルを身につけられない業務ばかりを行っているということもあります。社員をエンジニアとして育てるよりも企業の利益を優先して、なかなか開発ができる案件に携われないこともあります。社員を大切に扱わない企業は、社員が定着しにくく企業としても将来性はありません。

下流工程ばかりでスキルが身につかない

SES企業でも下請けすぎる案件ばかりでは、単価は低く給与も上がりません。下流工程ばかりでは、身につけられるスキルも限られているためその後のスキルアップも望めません。

下請けすぎるSES企業は、中間マージンが多く引かれており企業に入る利益が少なく、エンジニアに還元できる給与が少ないのです。下流工程の案件ばかりのSES企業は、将来性が低くエンジニアが成長できる企業とはいえません。

SES事業だけを行っている企業の場合、理由が妥当なものかどうかを確認しましょう。Pマーク、ISMSの免許や資格を取得していない企業は、違法な取引となっている可能性があるため注意が必要です。社員の離職率が高い場合も、評価制度や給与がネックとなっている可能性があります。複数のポイントに当てはまる企業は将来性がないと判断できます。SESエンジニアでスキルを磨いていきたい方は、これらのポイントを抑えてホワイトなSES企業を選択してください。

SESエンジニアは企業選びとスキルアップが肝心!

IT業界やSES市場は、今後も需要が高まることが予想されています。IT業界は慢性的に人材不足でもあり、大手企業やSierだけで解決はできません。Sierが上流工程を行い、SES企業から足りないエンジニアをアサインして案件を進めるという現在の形式は、今後も大きく変わらず継続されるでしょう。SESの企業だから全て将来性がないという訳ではありません。SES企業を選ぶ際には、以下の5つのポイントを参考にしてください。

・SES事業以外の事業
・希望するスキルを経験できるか
・上流工程の経験ができるか
・社員の年齢や在籍年数の長さ
・社員の評価制度

これらのポイントを知っているだけでも、エンジニアとして今後のキャリアプランやスキルアップを考えやすくなります。

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