LPICには有効期限がある!?取得前に考慮することや更新の必要性は?

LPIC(Linux Professional Institute Certification:Linux技術者認定試験)とは、世界各国で使われているOS(コンピューターを動かすためのソフトウェアのこと)の「Linux」の技術力や知識を証明できる資格のことです。インフラ系エンジニアを目指す上での登竜門的な位置づけの資格ですが、このLPICには有効期限が存在します。

現在、LPICの取得を考えている方、勉強を進めている人の中には「LPICは取得した後もずっと更新の手間が掛かる?」「どのように更新すれば良いの?」などと不安に感じている方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、LPICの有効期限や取得前に考慮するべきこと、更新の必要性について詳しく解説していきます。

LPIC取得後の有効期限を知っておこう!

はじめにLPICの試験の種類と有効期限、有効期限が過ぎるとどうなるかを解説します。

LPICの試験の種類について

LPICの試験は、難易度別にレベル1~レベル3のグレードに分けられています。各試験の概要について解説します。

  • LPICレベル1

レベル1の試験は101試験と102試験の2つがあります。それぞれの試験範囲は下記の通りです。

・101試験→システムアーキテクチャ、Linuxのインストールとパッケージ管理、GNUとUnixのコマンド、デバイス、Linuxファイルシステム、ファイルシステム階層標準など

・102試験→ シェル、スクリプト、およびデータ管理、インターフェイスとデスクトップ、管理タスク業務、必須システムサービス、ネットワーキングの基礎、セキュリティなど

難易度としては比較的易しいといわれており、Linuxでの操作に必要なコマンドに関する問題など暗記系の問題が多く出題されています。

レベル1の試験では、101試験と102試験の2試験に合格する必要があり、101試験合格後に5年以内に102試験にも合格する必要があります。 101試験合格日から5年のうちに102試験に合格しなかった場合、101試験の合格は無効となるので注意しましょう。またせっかく合格した101試験も無効となり、再度101試験を受け直す必要があります。

  • LPICレベル2

レベル2の試験は、レベル1(101・102試験)を取得していれば受験できます。レベル1の内容と比較すると難易度は上がっており、システム管理や保守、セキュリティに関する問題などより実務に近い内容となっているのが特徴です。

レベル2の試験は、201試験と202試験の2つがあります。試験範囲は下記の通りです。

・201試験→システムの起動とLinuxカーネル、ファイルシステムとストレージ管理、ネットワーク構成、システムの保守と運用管理、仮想化サーバーなど

・202試験→ネットワーククライアントの管理、ドメインネームサーバー、HTTPサーバーとプロキシサーバー、電子メールサービス、ファイル強雨サービス、システムのセキュリティなど

レベル2の試験もレベル1の試験と同様で201試験と202試験の両方を5年以内に取得する必要があります。201試験に合格したとしても、5年以内に202試験に合格しなければ201の合格は無効となるので注意しましょう。

  • LPICレベル3

レベル3の試験は、レベル2の認定後受験できます。LPICレベル3の試験は非常に難易度が高く、取得すれば最高レベルの技術力を持っている専門家として評価されます。300試験か301試験、304試験のいずれか1つを取得すれば認定されます。それぞれの試験内容は下記の通りです。

・300試験→Linux、Windows、UNIXが混在する環境でのシステムインテグレーション、トラブルシューティングなどに関する高度な専門知識

・301試験→セキュリティに考慮したシステムの設計スキル、サーバー構築のスキルなどに関する高度な専門知識

・304試験→仮想化システムなどの設計・構築や引用・保守などに関する高度な専門知識

LPICレベル3の試験に合格すれば、高い技術力を持ったエンジニアとして評価され、専門知識が求められるLinuxサーバーの設計・構築などの現場にも参画できるでしょう。

LPICには有意性の期限がある

ここまで紹介したLPICのレベル1~3の試験は、資格の有効期限はありませんが、「有意性の期限」というもの存在します。資格そのものは1度でも取得すればなくなることはありませんが、資格として効力がある期限が定められているのです。

LPICの「再認定ポリシー(有意性の期限)」によると、「再認定ポリシーとして有意性の期限があり、その期間は5年間」と記載されています。

LPICには、「ACTIVE」と「INACTIVE」の2つの認定ステータスが存在し、有意性があるものはACTIVE、認定してから5年を経過したものをINACTIVEとして認定します。INACTIVEになってしまうと、期限切れ後再度受験し直さなければいけないため、有意性の期限については失念しないように注意しましょう。

この有意性の期限があることによって、取得した資格が最新のものであるかを客観的に判断でき、受験者も最新の技術を学習できるメリットがあります。IT業界の技術の進歩は著しいため、IT業界で働くエンジニアは日々自身のスキルや知識を向上させるために学習しなければいけません。

INACTIVEになると履歴書に記載できなくなるので注意しよう

ステータスがINACTIVEになると、履歴書や職務経歴書の資格欄に記載できなくなります。失効している状態にもかかわらず、履歴書や職務経歴書などに記載するのはNGなので、特に就職活動や転職活動を行っている方は注意しましょう。

また、LPICを取得して資格手当を貰っている会社員も、有効期限に関しては正確に把握する必要があります。LPICやCCNA(Cisco Certified Network Associateの略であり、ネットワーク機器の大手のシスコシステムズ社が実施しているベンダー資格のこと)などを取得した社員に対して「資格手当」を支給している企業は非常に多いです。

期限が切れている状態で資格手当を貰うのはNGなので(企業側で有効期限は把握しているケースがほとんどですが)自分が取得した資格の期限は自身で把握するようにしておきましょう。

LPICの更新方法について知っておこう!

INACTIVEになると、もう1度再受験する必要がある、履歴書や職務経歴書などに記載できなくなる等のデメリットがあるため、取得した資格はできる限りACTIVEのステータスをキープしたいところです。ACTIVEのステータスを引き続き更新するためには「再認定を受ける」か「上位のレベルの認定を受ける」どちらかの方法で可能です。

この章では、それぞれの更新方法について詳しく解説します。

認定日から5年以内に保持している認定レベルの試験を再度受ける

1つ目の更新方法は、認定日から5年以内に現在保持している認定レベルの試験を受ける方法です。無事に再認定されれば、再認定された日から起算して5年間はACTIVEのステータスをキープできます

例えば、2022年11月1日にレベル1の認定を取得した場合、再認定を受けなければ2027年11月2日にステータスがACTIVEからINACTIVEに変わります。この場合、認定された2022年11月1日~2027年11月1日までの5年以内にLPICレベル1の再認定を受ければ更新できます。再認定を受けた日から5年間再びACTIVEのステータスになります。

現在保持している認定レベルより上位の認定を5年以内に取得する

2つ目の更新方法は、現在保有している認定レベルより上位の認定を5年以内に取得する方法です。上位のレベルの認定を受ければ、保有している認定も同時にACTIVEのステータスになります。例えば、2022年11月1日にレベル1の認定を取得した場合、2027年12月1日までにレベル2の資格を取得すれば、レベル2の認定後にレベル1とレベル2どちらも5年間 ACTIVEのステータスになります。

レベル1と2の複数レベルの認定を持っている場合

LPICのレベル1とレベル2つの認定を持っている場合、レベル2の取得から起算して5年以内にレベル2の再認定を受ければ、レベル1とレベル2どちらのステータスもACTIVEになります。

例えば、2022年11月1日にレベル1の認定を取得し、2022年12月1日にレベル2の認定を取得した場合、再認定を受けなければ2027年12月2日にレベル1とレベル2どちらのステータスもINACTIVEに変わります。

このケースの場合、2025年12月1日までにレベル2の認定を受ければ、レベル2の認定日から5年間レベル1とレベル2のステータスがACTIVEに変更されます。

レベル3の有意性の期限を延長するには?

レベル3(301・303・304)の試験は、それぞれが最上位レベルの試験として認定されています。そのため、レベル3の各認定の有意性の期限を延長するためには、各試験を再度受けなければなりません。

例えば、3つ全ての認定を持っている場合、有意性を更新するためには3つ全て再受験する必要があります。また、301試験の認定者が303の試験に合格した場合、レベル1と2の有意性は更新されますが、301の有意性の期限は更新されません。301の有意性の期限を更新するには、5年以内に再度301試験を再受験する必要があります。

LPICの有効期限が来る前に考えておこう!

LPICの有意性の期限を更新するためには、現在保持しているレベルと同じ認定を受けるか、上位レベルの認定を受けるかのいずれかを選択しなければなりません。また有意性のある5年間の内にLPICの資格を有効に活用したいところです。

この章では、LPICの有効期限が来る前に考えておくべきことについて解説します。

保持している認定レベルの試験を再度受ける

選択肢1つは、現在保持している認定レベルの試験を再度受ける方法です。1度認定を受けた経験がある分、気持ちに余裕をもって受験できるでしょう

ただし、合格時から試験内容が変更されていたり、勉強した内容を忘れてしまっていたりする可能性が高いため、本腰を入れて再度勉強する必要があります。

現在保持している認定レベルより上位の認定を取得する

もう1つの選択肢は、現在保有している認定レベルより上位の認定を取得する方法です。上位の認定レベルにチャレンジすることで、自身のスキルアップにも確実につながります。また、レベル1の試験で基本的な知識は身に付いている分、スムーズに学習を進められるでしょう。

ただし、レベル3に関しては難易度が格段に上がっているため、より多くの勉強時間が必要です。

LPICの試験で得た知識を活かせる現場で実務経験を積む

有効期限内にLPICの試験で得た知識を活かせる現場で実務経験を積むこともおすすめです。資格試験で得た知識を実務で活かす経験をすれば、より技術に対しての理解が深まり、エンジニアとしてのスキルアップにもつながるでしょう。資格試験で得た知識は実務で使ってこそ意味があるので、有効期限内にLinuxサーバーの設計・構築などの現場への配属を希望することをおすすめします。

IT転職・就職にチャレンジする

LPICの有意性の期限である5年間は長いようで短いです。自身のエンジニアとしてのスキルアップ、年収アップを目的にIT転職・就職にチャレンジするのも一つの手です。何らかの資格を取得していることは自身のアピールポイントになり、転職・就職の際に大きなアドバンテージとなるでしょう。

例えば、LPICの認定レベルに応じて資格手当を支給している企業もあるため、現在勤めている会社で資格手当が無かった場合、資格手当のある企業に転職することで年収アップが可能となります。

エンジニアとしてのキャリアを歩んでいくためには、取得した資格を自身のキャリアアップに有効活用する考え方も非常に大切です。失効させないように新たに上位資格にチャレンジするのも大切ですが、5年という期間内にどのように活用できるか等も同時に考えていきましょう。

まとめ

LPICの有効期限である5年は長いようであっという間に過ぎてしまいます。5年過ぎてしまうとステータスがACTIVEからINACTIVEに変わり資格としての効力もなくなるので、期限内に有効に活用していきましょう。期限内にできる選択肢は下記の4つです。

  • 保持している認定レベルの試験を再度受ける
  • 現在保有している認定レベルより上位の認定を取得する
  • LPICの試験で得た知識を活かせる現場で実務経験を積む
  • IT転職・就職にチャレンジする

LPICの試験で得た知識は、Linuxでのサーバー構築や運用などの現場で活かせます。また、よりレベルの高い認定試験にチャレンジすれば、エンジニアとしてのキャリアアップも可能です。インフラ系エンジニアとして手に職を付けたい方は、ぜひLPICの試験にチャレンジしてみてください。

引用元: https://codexcode.jp/

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