LPIC Level1(エルピック レベル1)は、世界的に価値があるLinux(リナックス)の認定資格であり、日本国内でもサーバースキルを証明する登竜門的な資格として、とても評価の高いものです。
LPIC Level1は、未経験からでも正しく準備ができれば比較的容易に合格できます。
そのうえ企業からの信頼も高いため、未経験からクラウドエンジニアへの転職を目指す場合は、ぜひ取得したい資格です。
この記事ではLPIC Level1の勉強方法をご紹介しています。
また試験についての詳細と共に、資格取得後のロードマップについてもまとめています。
この記事を参考に、クラウドエンジニアへの転職とその後のキャリアプランまで見据えて、LPIC Level1の取得を検討されてはいかがでしょうか。
Contents
LPIC Level1の勉強を未経験者が始める場合の重要ポイントを解説!
Linuxについての知識がまだない方がLPIC Level1に合格する勉強方法について、重要なポイントを解説します。
合格は可能!
最初にお伝えしたいのが、たとえIT業務が未経験でLinuxの知識が足りないところからのスタートであっても、LPIC Level1の合格は可能!ということです。
未経験からだと敷居は高く感じられるかもしれませんが、あくまで限られた範囲の中で知識を問われる試験です。
しっかり準備すれば、ちゃんと合格できる試験ですよ!
まずは目的を明確に!
合格に向けた重要なポイントとして、なぜLPIC Level1の合格を目指すのか、その目的を明確にすることをおすすめします。
未経験で予備知識の少ない状態からLPIC Level1の勉強をする場合、やはり覚えなくてはいけないことが多くあります。社会人の方なら、毎日働きながら隙間時間に勉強をする負担は大きいですよね。それでも勉強を続けるモチベーションを維持するために有効なのが、「合格してこうなりたい」という目的ではないでしょうか。
この記事をご覧の方は、クラウドエンジニアへ転職したいという方が多いと思います。転職するために、スキルアップや評価が高くなるLPIC Level1に合格する、それが目的ですよね。
「クラウドエンジニアとして働く」、そんな未来の自分を思い描いて、その目的を明確にしましょう。
目的を明確にすることで、この先の勉強方法や学ぶスタンスが決まります。
LPIC Level1をしっかりと学んで合格することは、エンジニアへの転職のみならず、実務にも間違いなくプラスです。ただ履歴書に書くため小手先でギリギリ合格するというよりも、エンジニアとして実務で活かすための資格としての勉強をしましょう。
資格試験は一回で合格する!
エンジニアに転職するために取得する資格であれば、一回の受験で合格できるように準備しましょう。
既にエンジニアとして働きながらの資格の勉強であれば、勉強そのものが業務にスキルアップに直結するため、仮に合格までは至らなくとも勉強したことは無駄にはなりません。
ですが資格を転職に活かしたいという目的であれば、資格は合格しなければアピールにならないのです。
また、LPIC Level1の試験は101試験と102試験の両方に合格する必要がありますが、それぞれ受験料は15,000円、ふたつで合計30,000円の受験料がかかります。余計な受験料を払わないためにも、一回で合格するという決意をもって挑みましょう!
難易度と合格率は?
一発合格を狙うとして、未経験からの学習でもそれは可能なのでしょうか?
LPIC Level1の難易度や合格率を確認してみましょう。
実はLPIC Level1の合格率は、公式サイトでは公表されていません。ただ、LPIC Level1~LPIC Level3の試験を過去70万人が受験して、27万人が認定を受けていることは公表されているので、全体で約38%程度の合格率であることがわかります。その中でLPIC Level1の難易度は最も低いので、それよりは高い40~45%前後の合格率と推測できそうです。
合格率が公表されている、他の資格と比較してみましょう(LPIC以外は2022年6月1日に公式サイトで確認)。
資格試験 | 合格率 |
LPIC Level1 | 40~45%(?) |
日商簿記3級 | 46.87%(過去10回平均) |
基本情報技術者試験 | 26.6%(新制度累計) |
応用情報技術者試験 | 22.0%(新制度累計) |
ITパスポート | 54.0%(新制度累計) |
合格率から推測できる難易度としては、日商簿記3級よりも少し上、程度でしょうか。
ちなみに筆者は前職で、社員の資格試験のサポートを長くさせていただいたことがありますが、この中では合格率の低い基本情報技術者試験や応用情報技術者試験であっても、しっかり準備できていた方はほとんど全員が一発で合格されていました。
LPIC Level1も、しっかり準備ができれば一回で合格できる難易度のはずです。
独学で合格するまでの流れ
独学でLPIC Level1に合格するまでの準備について、流れをご紹介します。
次のような順番で準備を進めるのが一般的です。
- Linux環境を作る
- 書籍やWebサイト、動画サービスを中心に知識を学ぶ
- 問題を解いて、理解を深める
- 受験する
それぞれについて、説明します。
1.Linux環境を作る
LPICを受験する場合、とくに未経験から学習する場合には、Linux環境を作成するのをおすすめします。
Linuxを理解してLPIC Level1に合格するためには、Linuxを実際に使うことが有効である上に、CUIコマンドの理解が必須であるからです。
CUIはCharacter-based User Interface(キャラクター(文字)ベースのインターフェース)の略称で、コマンド(文字列)でパソコンに命令をするインターフェースのこと。通常パソコンを使う場合は、画面上にあるアイコンなどをマウスでクリックして操作しますよね。このようにグラフィカルなUIで操作するインターフェースをGUI(Graphical User Interface)というのですが、CUIでは地味な黒い画面にコマンド入力してパソコンを操作します。
Windowsにも、コマンドプロンプトもというCUIのプログラムがあります。
これは筆者のパソコンのコマンドプロンプトを開き、「help」というコマンドを実行したところ。helpコマンドによって、使用できるコマンドの一覧を表示しました。
例えばファイルコピーやPCのシャットダウンなども、コマンドから指示ができるのです。
サーバーとしてLinuxを使用する場合、その操作はコマンドで行います。つまりLinuxの操作にはコマンドを覚えて使うことが必須であるため、LPIC Level1の試験でも多く出題されるのです。
そのため、特に未経験の方は、Linux環境を作成して実際にコマンドを使うことで、コマンド操作を理解することで覚えが早くなります。
Linux環境を持つには、次のふたつの方法があります。
- 専用のPCを用意してLinuxをインストールする
- WindowやmacOS上にその環境を作る
この中で、特に便利なのがWindows上でWLS2というソフトを使った環境構築です。Windowsに通常のアプリケーションのようにインストールして起動すると、LinuxのCUIを使用できます。
この図は、筆者のWindows上でWLS2を起動している画面です。「cal」コマンドで、カレンダーを表示させています。
※インストール方法はこちらをご参照ください。通常のアプリケーションのインストールと変わらず、簡単ですよ!
macOSの場合は、VirtualBoxなどの仮想環境(一つのソフトとして、他のOSをインストールする環境)を作ってLinuxをインストールするのが一般的です。
このように、WindowsやmacOSでLinuxを使用するためには、WLS2やVirtualBoxなどの仮想環境となるソフトをインストールしなければいけません。そのため、ネットカフェやコワーキングスペースの共用PCでの学習は難しいといえます。スクールなどに通わない場合は、パソコンの準備も必須といえるでしょう。
環境を作ったら、いよいよ学習開始です。
2.書籍を中心に全体像を学ぶ
LPIC Level1の試験内容について学習します。
学習のために、試験範囲全体を網羅している教材を用意しましょう。
独学で学習するための教材3選
独学で学習するための教材には、次の3つが一般的です。
- Webサイト
- YouTube動画
- 書籍で学習する
1.Webサイトでは、LPIC公式で教材が公開されています(2022年6月1日現在、更新中)。
またLPICをベースに、日本向けに策定されたLinux資格であるLinuC(リナック)学習用の教材が、主催団体であるLPI-Japanから無料で公開されています。
これらを使うことで、学習教材は無料で準備ができますね。
2.YouTube動画は、LPICの日本での主催団体であるLinux Professional Institute 日本支部公式がYouTube動画を公開してくれています。
これらの動画を見ることで、概要は把握できるかもしれません。
Web上の教材や動画にもそれぞれの良さはありますが、筆者が個人的におすすめしたいのは、3.書籍で学習するです。
市販されている書籍は編集を経てまとめているので全体像がわかりやすい上に、直ぐに手に取って調べたり確認したりできるからです。
ここでは、書籍を使った効果的な学習方法について、詳しくご紹介します。
書籍を使った学習方法
書籍は、試験範囲全体の情報を体系的に網羅してくれています。
書籍をうまく利用して、効率的に学習しましょう。
ここでご紹介する方法は、私が情報処理試験で高度試験にも連続で合格した時の方法であり、前職で指導したメンバーたちも上位試験に合格していました。その中にはLPIC Level1の合格者もいたので、再現性の高い方法だと思います。
ぜひ参考になさってください。
おすすめの方法は、「浅く、繰り返して読む」です。
まずは書籍を軽く一周、読み流してみましょう。「頑張って覚えるぞ!」なんて肩ひじ張らなくてもOK!理解しなくても表面だけの斜め読みでもよいので、とにかく書籍全体を1周読んでみるのです。
読み終わったら、もう一度繰り返します。2周目を読みましょう。読むことが負担にならない程度に、軽く読む程度で大丈夫です。
全体を繰り返し読む目的は、試験範囲全体のおぼろげな地図が頭に描けるようにするため。これによって、その後に学ぶことが「地図上のどの位置の話なのか」が認識できるようになり、覚えた知識を孤立させず体系化して身に着やすくなるのです。
私が新しい資格試験を受験するときには、1週間に1周程度のスピード感で読みました。2周目に見返した時に、前回の記憶が少しでも残っている程度の期間で繰り返すことです。普通の方であればまずは2周で準備は整うと思いますが、頭への定着が遅い私は、3周は読んでいました・・。
この全体像の理解は、現場で実務に携わるようになってからも、とても役に立ちます。新しく業務で学んだことも、どの場所の話かわかるので理解が早くなるのです。
2~3周回したら、最後の1周は腰を据えて勉強します。コマンドも実際にPCで入力しながら、ひとつひとつ確認しましょう。
ただ、この際も無理に覚えようとしなくても大丈夫!覚えるのは問題を解くとき=アウトプットの時なので、ここではひとつひとつ理解することを重視します。
頭の中に全体像がある分、いきなり勉強するよりも理解しやすいはずです。
どの書籍を準備するかというと、LPICの学習書籍には定番があります。
小豆本と呼ばれている、「Linux教科書 LPICレベル1」です。迷ったらこちらの書籍が良いでしょう。
資格試験の書籍は、気が付くとバージョンが古くなっている場合があります。現行のバージョンに合っていることを確認して、入手してください。
3.問題を解く
頭の中に全体像が作れたら、いよいよ問題を解きます。
問題を解く=アウトプットしようとすることで「自分が答えられない問題」に気付けるので、その都度復習をすることで頭に定着させるのです。
では、どこにいけば問題を見つけられるのでしょうか。
LPIC Level1の問題を解く場合、一般的にPint-tというサイトで公開されている問題が使われます。
Pint-tには101試験と102試験の問題が大量に公開されています。
問題を解くポイントは、問題文と答えを覚えるのが目的ではなく、解説を読んで理解すること。回答が分からない場合や解説で理解できなかったところを、前述の書籍でもう一度勉強します。
このときに、すぐに手にとって調べられるのが書籍の優れたところですね。
どれだけ準備してきても、本番では初見の問題にいくつも出会うはず。そういった場合でも、理解して胃に落ちた知識があれば、選択肢を絞るなど得点の可能性を上げられます。
またぜひ目を通したいのが、Pint-tを使って学習して合格したユーザーの声です。Ping-tをどう利用すると合格できるのか、具体的に教えてくれますよ。
101試験を受ける前には101の問題を、102の前には102の問題を、ひたすら繰り返して解きます。
Ping-tにある問題は、全て回答できるようにしましょう。
Ping-tの全問を理解し、コマ問(コマンド問題)も書けるようになったら、仕上げに模擬試験を受けてみましょう。小豆本の巻末には、試験1回分の模擬試験が掲載されています。ここで力試しをして、9割以上正解であれば一回で合格できる力が付いた、といえそうです。
4.受験する
ここまで力を付けられたなら、あとは本番で結果を出すだけ。受験はPearson VUE(ピアソンビュー)というサイトから予約することになります。
受験の予約方法はこちらにまとまっているので、ご参照ください。
独学でも合格はできるけれども・・
以上、独学で勉強する方法についてご紹介しました。
一問一答形式の試験なので、焦らずに時間をかければ合格する力はつくはずです。
ただ、LPIC試験はLinuxだけではなくてネットワーク管理やセキュリティなど幅広い範囲を一度に学ぶため、未経験で予備知識の少ないと、なかなか身につく感覚が持てない方もいらっしゃるかもしれません。
なお、LPICの試験内容については、こちらの記事に詳しくまとまっています。
ゼロからイチを学ぶときに、勘所がつかめないまま一人で苦労することになると辛いですよね。頑張ってもなかなか成果が感じられずに、諦めてしまう方もいるかもしれません。
そういう場合、人に教わることで簡単に視野が開けることがあります。
私も昔、C言語というプログラミング言語を独学していたころに、頑張っていたのになかなか理解ができずに苦労したことがあります。
習得を諦めかけた時、ひょんなことから人に教わる機会に恵まれたのですが、教わってすぐに「あ、そういうことだったのか」とするすると理解できました。振り返ると、いくつかの単純な場所につまずいていたのですが、独学ではそういった点に気付けなかったのです。
このように、未経験からの学習では、人に習うことで負担が減るし学習効果も増すことがあります。
独学が大変と思われる方は、スクールに通ってプロの講師にわかりやすく習う、という選択肢もありますよ。
LPIC Level1の勉強時間はどれくらい必要?
LPIC Level1合格までにはどれぐらいの時間が必要か、調べてみました。
必要な勉強時間は、開始時の知識によって変わる
LPIC Level1の受験勉強を始めて、合格までにどれぐらいの時間がかかるものなのでしょうか。
それは、受験する方の学習開始前の知識や経験によって変わります。
例えば、業務で毎日のようにLinuxサーバーを操作しているようなインフラエンジニアやクラウドエンジニアの方がスキルアップを目的として受験するのであれば、知識や全体像の理解は十分身についています。あとは出題傾向の対策をすればよいだけなので、あまり時間はかからないでしょう。
一方でLinuxにこれまで触れたことがない方や予備知識の無い方は、基本的なインプットから始めることになるので、その分勉強時間が長くなります。
このように、勉強にかかる時間は学習開始時点での知識によるため一概には言えないものです。そこで、この記事を読んでくださっているであろう、次のような方の場合について紹介します。
年齢 | 20代~30代前半 |
職業 | 非IT系会社員 |
IT業界 | 未経験者 |
受験の目的 | インフラエンジアやクラウドエンジニアに転職するため、LPIC Level1の合格を目指している |
未経験からの挑戦で、転職を目指している若い会社員の方、という前提で検討しました。
勉強時間の目安
未経験からLPIC Level1に合格するまでの勉強時間について、調べてみました。ネット上を調べてみると200時間前後、期間としては1ヵ月半から4ヵ月程度が目安になりそうです。
Linuxについての知識がない場合、試験範囲全体について知識をインプットする時間が必要になります。
インプットする時間の目安として、LPI(LPICを主催している団体)が、Webサイト上で公開している教材(※)の例をご紹介します。この教材は、LPIC Level1の101試験と102試験の試験範囲で58レッスンあって、1レッスンが1~2時間とされているので、未経験者の場合はインプットだけで58時間~116時間程度かかるという目途が立ちます。
※2022年6月時点、記事は改訂中
アウトプットが同じぐらい時間がかかるとすると、200時間ぐらいが目安というのは、納得の数字となりそうです。
ネット上で実際に未経験から合格された方を参考にさせていただくと、例えばこちらの方は、1カ月半で合格されたそうです。
ただ、この方はブログでさらに詳細に情報を公開されていて、学習時間は247時間とのことでした。
こちらの方も秋からの学習で翌年1月末の合格とのことで、4カ月程度でしょうか。
育児との両立ということで、とても大変だったと思うのですが、コツコツと時間をかけて合格されたのだと思います。
他に、こちらの方は、150時間程度とのことでした。
https://infra-note.net/LPIC-1/#index_id17
やはり、未経験の方がイチから勉強をしようとすると、それなりに時間がかかってしまうことは避けられなそうです。
※ネット上には、とても短期間で合格したという情報もたくさんあります。それと自分を比較して落ち込まないでくださいね!比較する相手は、1週間前の自分自身です。
焦らずにコツコツと続けて行きましょう。
LPIC Level1に合格したあと狙うべき資格とは?
LPIC Level1に合格した後、次に狙うべき資格は何があるでしょうか。
インフラサーバーの知識と共に取得を目指したいのは、クラウドエンジニアにスキルアップするための知識です。
今後、インフラ系エンジニアを目指す場合にはクラウドサービスの知識は必須といえるでしょう。クラウドエンジニアになれば、より平均給与も高くなりますよ。
クラウドエンジニアへのアピールになる、おすすめの資格をご紹介します。
AWSクラウドプラクティショナー
AWS(エーダブリューエス:Amazon Web Services)とは、インフラシステムをクラウド化するクラウドサービスの中で、現在トップシェアのサービスです。
AWSクラウドプラクティショナーは、AWS認定試験(AWSの公式の資格)の中で最も基本的なレベルの試験で、この資格を取得することで、AWSに関する基本的な知識とスキルを持ち、総合的な理解ができていることを証明します。
LPICに加えてAWSの知識を得ることで、クラウドエンジニアへの転職には大きなアピールになるはずです。
AWSクラウドプラクティショナーの公式ページはこちら。
応用情報技術者試験
応用情報技術者試験は、日本の試験です。経済産業省が管轄するIPA(情報処理推進機構)が実施していて、LPICやAWSのように特定のOSや企業に依存しない、汎用的で幅広いITシステム全般の知識が問われます。
応用情報技術者試験の学習によって、LPICで学んだLinuxサーバーをシステムの中で活かす知識を得ることができます。インフラシステム全体の理解が必要なクラウドエンジニアへの転職に向けて、大きなアピールとなるでしょう。
応用情報技術者試験の公式ページはこちら。
セキュリティ系試験
LPICで実務に関するスキルを学んだあとは、毛色を変えてセキュリティ系の勉強するのも良いかもしれません。
セキュリティリスクは、どの企業にとっても重要な課題です。インフラ系エンジニアがセキュリティを学ぶことで、システムの中でどのようなセキュリティリスクを意識しなければいけないのか、リスクを減らすための施策などについて提言できるようになります。
企業によっては社員に対して、定期的にセキュリティについて啓蒙する機会を持つところもあります。それだけコストをかけて社員のリテラシーを上げる必要があるくらい、セキュリティの知識は重視されているのです。セキュリティ系の資格を持っていることは、採用する企業にとっても「セキュリティインシデント(セキュリティ事故)をおこすリスクが低い」と評価が高まる可能性もあります。
セキュリティ系試験で目指したいのが、IPAの情報処理安全確保支援士試験です。
合格率15.9%と難しいため、学習には時間がかかるかもしれません。ただ過去問が公開されていたり書籍も充実したりしているので、時間をかければ独学でも合格は可能です。
筆者はこの前身である「情報セキュリティスペシャリスト」という資格に合格しましたが、この資格を取れると現場でも一目置かれる上に、インフラシステムのネットワーク設計にも知見が広がりますよ。
情報処理安全確保支援士試験は難易度が高すぎるという場合、これよりも難易度が低くて、且つ社会人として必須のセキュリティ知識を学べる資格である情報セキュリティマネジメントがあります。
合格率も54.0%という高くない難易度なので、転職前のちょっとしたアピールには良いかもしれません。
情報処理安全確保支援士試験の公式サイトはこちら。
情報セキュリティマネジメントの公式サイトはこちら。
実務が一番!
ここまで、LPIC Level1に合格した後に目指すのにおすすめの資格をご紹介してきました。
ですが、筆者の本心としては、資格を取るよりもいち早く実務に携わるのが、一番スキルアップできる方法ではないかと考えています。
業務で身に付くことは、机上の学習から学べることよりもはるかに多くて、実践的。しかも現場でしか知りえないプロとしてのノウハウも身に付くからです。実務経験を重視する会社があることも、納得できるほどなのです。
まずはLPIC Level1の資格を利用して、クラウドエンジニアに転職すること。そして目の前の業務を頑張るなかで自分に不足しているスキルに気付いたときに、それを克服するために学習をするのが、効率的にも学習効果としてもおすすめです。
早く実務経験とスキルを積めば、更に給料の良い会社へのステップアップも可能なのがエンジニアの業界なのです。
実務に早く携わるために、LPIC Level1の取得からすぐに転職する方法はあるでしょうか。
実はプログラミングスクールの中には、資格を取得するための学習や準備と共に、資格取得後の転職サポートもサービスに含まれているところもあります。
こういったスクールを利用することで、LPIC Level1を効率的に取得できる上に、それを活かした転職先の斡旋なども受けられます。
早く実務に携わりたい場合、スクールを利用することも検討されてはいかがでしょうか。
LPIC Level1に合格したら年収はどのくらいあがる?
インフラエンジニアやクラウドエンジニアに転職した場合、日本の平均よりも年収の増加が見込めます。
求人ボックスさんの「給料ナビ」というWebサイトで、日本人の平均年収とインフラエンジニア、そしてクラウドエンジニアの年収が公開されていたので、比較しました(2022年6月2日のデータ)。
日本の平均 | インフラエンジニア | クラウドエンジニア | |
平均年収 | 436円 | 536万円 | 595万円 |
月収換算 | 36万円※ | 45万円 | 50万円 |
※日本の平均を12で割って算出
LPIC Level1に合格することで、インフラエンジニアやクラウドエンジニアへの転職の可能性が高まり、年収アップを目指すことが可能です。
それぞれの職種について、確認しましょう。
インフラエンジニアへの転職
インフラエンジニアの平均年収は約536万円とされていますが、携わるのが上流の業務か下流の業務かによって収入は大きく異なります。
インフラエンジニアの仕事は、大きく分けると下流から次の3つに分類されます。
1. 運用オペレーター
2. 運用管理・保守
3. インフラシステム設計・構築
下流である運用オペレーターから、上流のインフラシステム設計・構築まで、役割が階層化されています。当然、上流になるほど高いスキルが必要になり、年収もアップします。
このなかで1.運用オペレーターは未経験で資格がなくても携われる業務ですが、その分インフラエンジニア全体の中では給料も低くなりがちです。
LPIC Level1を取得した上で転職活動をすることによって、より上位の業務に携われる仕事につきやすくなります。そこから実務経験を積んでスキルアップすることで、より早く平均前後の収入に到達できることでしょう。
クラウドエンジニアへの転職
インフラエンジニアの中でも、クラウドサービスを使ったインフラシステムの構築や運用をするエンジニアをクラウドエンジニアといいます。その平均年収は給料ナビによると595万円です。
クラウドエンジニアはインフラエンジニアよりも平均年収が59万円も高いことがわかります。年収を上げたいのならば、LPICに合格してクラウドエンジニアを目指した転職活動をするのがおすすめです。
クラウドエンジニアは、サーバーの操作やネットワークなどインフラシステム全体の広い知識が必要です。そのため全くの未経験からの転職は難しいですが、LPIC Level1のようなサーバーに関する資格を持っていることで、転職できる可能性がグッと高まりますよ。
LPIC Level1の勉強方法とIT未経験転職のポイントを一度に学ぼう!
LPIC Level1試験の合格のために、また合格の先を見据えた実務に向けた準備として、重要なポイントをもう一度確認しましょう。
- エンジニアへの転職という目的を持って勉強する
- 受験料が高いので、一回で合格したい
- 独学でも合格は可能。ただし、未経験では時間がかかる
クラウドエンジニアへの転職を目的としてLPIC Level1の取得を目指すことは、とても良い選択といえます。クラウドサービスを使ったインフラシステム運用にもLinuxの知識は必要ですし、LPICは有名な資格なので転職活動でもアピールになるためです。
ただ、独学が苦手であったり、勉強に時間がかかりすぎてしまったり、試験に慣れていない人だと、なかなか結果が伴わなかったりすることもあるかもしれません。
また見事に合格できたとしても、それを活かした転職活動にもまたハードルがあります。IT会社にもいろいろな形態や文化があるので、どの会社に行けばクラウドエンジニアとして望んでいるようなキャリアを積めるのか、期待する転職のためには、その調査も必要です。
資格勉強や転職活動を、経験の無い業界で理想的に進めることに難しさを感じるのなら、これらを包括してサポートしてくれるIT/プログラミングスクールに通うことがおすすめです。
そのメリットについて紹介します。
IT/プログラミングスクールを利用するメリット
転職を目指す資格を取得するために、IT/プログラミングスクールを利用するのはとてもメリットがあります。
筆者が考えるメリットは、主に次の3つです。
- 効率的なカリキュラムにより、短期間で合格できる
- 実務経験のある講師から、現場の話を聞きながら準備できる
- 資格を活かした転職サポートまで受けられる
1.資格取得に向けて、効率的なカリキュラムが用意されていることは、未経験からの資格取得に向けて、強力なサポートになるはずです。スクールには多くの未経験の方に教えてきたカリキュラムやノウハウがあるので、独学よりも短期間で合格できる可能性が高まります。
実務経験のある講師から、現場の話を聞きながら準備できることは、とても有益な情報だと思います。ITの業務は、机上で学ぶこととよりも業務の現場で求められることの方がシビア。現場レベルの話を聞いて転職の準備ができるのは、転職後に慌てずに働くために貴重な環境です。
さらに資格を活かした転職サポートまで受けられるスクールもあるんですよ。
「IT/プログラミングスクールに入って、資格を得て転職先を決める」という流れがあるのです。
実績のあるスクールの転職サポートは、転職先企業の働き方や文化も知っています。「希望している仕事がしたい」場合や、「安心できる企業に転職したい」という希望をお持ちの方にも、大きなメリットになると思います。
IT/プログラミングスクールを利用するデメリット
IT/プログラミングスクールを利用するデメリットとして考えられるのは、やはり費用が掛かることでしょう。
独学の場合は、書籍代やPing-tなどのWebサービスの費用ぐらいで済みますが、IT/プログラミングスクールに入ると、まとまった受講料が必要になります。
この点で躊躇してしまう方も多いのではないでしょうか。
ただ、スクールのメリットとして短期間で合格できること、そして転職へのサポートも受けられることを考えると、独学の場合よりも早く合格して希望の業種へ転職できる可能性が高まります。
クラウドエンジニアに転職すると日本の平均よりも収入が高いわけですから、早く転職に成功することで平均年収との差分で費用は直ぐに回収できますし、生涯収入もより増えることも考えられますよね。
また、IT/プログラミングスクールごとにサービスや料金は異なります。
時期によってはキャンペーンでお得に利用できることもあるので、ご検討の際には比較して調べてみるのも良いでしょう。
ご自身に合ったスクールを探すには、こちらの記事もご参照ください。
【最短コース】人気のクラウドエンジニアを目指す人のスクール選び おすすめ一覧
メリットを活かせる、CODExCODE
CODExCODEには、筆者が考えるIT/プログラミングスクールのメリットをフルに活かせるクラウドエンジニアコースがあります。
これはLPIC Level1の取得と共にクラウド技術の目的としたコースで、クラウドエンジニアへの転職に有利な知識と資格を得られるコースです。実績もあって、資格取得率97%という高い成果を挙げています。
また担当の講師がついて、スケジュールの管理やチャットサポートを受けられるうえ、週に一度メンタリング(相談会)があるので、LPICだけではなく業務についての質問もできそうです。
そしてキャリアサポートも充実していて、講師とは別の担当キャリアカウンセラーが付いてくれるのもポイント。希望にマッチする企業を紹介してくれたり、履歴書・職務経歴書などの書類添削や面接対策してくれたりと、きめ細かいサポートも受けられます。
さらに、紹介企業への内定が決定したら、80,000円のキャッシュバックを受けられるキャンペーンも実施中です。
CODExCODEには、無料で相談ができるWEBオリエンテーションという窓口があります。クラウドエンジニアへの転職に興味が湧きましたら、一度お気楽に相談してみるのはいかがでしょうか。
WEBオリエンテーションのご紹介はこちらです。
LPIC Level1に合格して、クラウドエンジニアへの転職を目指しましょう!
この記事では、LPIC Level1に合格するための学習方法について紹介いたしました。
私も多くのIT系資格を取得して感じてきたのですが、資格を取得することは転職に向けたアピール以外にも、多くのメリットがあります。
例えば、そのジャンルについて体系的に整理された知識を得られることです。その知識は業務に活かすことも、業務で学んだことの理解を早めてくれることにも役に立ってくれます。
Linuxの知識はインフラ系エンジニアにとって必須ですし、LPIC Level1の合格は、転職にも実務でもあなたを助けてくれることでしょう。
この記事が、クラウドエンジニアへの転職を目指している方の参考になったならば、とても嬉しく思います。
頑張ってくださいね!