(引用:https://www.photo-ac.com/main/detail/26203100)
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ITエンジニアでの代表的な職種にインフラエンジニアがあります。
インフラエンジニアは社会のデジタル化が進んでいることに伴って大切な役割を果たしていますが、最近は特にクラウドエンジニアなど新しいポジションも出ていることから仕事内容がよく分からないという方もいるでしょう。
そこで本記事では、まずインフラエンジニアについて概要を説明した上で、様々な種類ごとに業務内容、必要なスキル・資格などを解説します。
日々の仕事で忙しく働きながら将来のキャリアパスを考えることは大変ではありますが、インフラエンジニアに興味がある方、インフラエンジニアへの就職や転職を考えている方はぜひ参考にしてください。
1.インフラエンジニアとは
先ずはインフラエンジニアという職種について、その役割と種類、年収、キャリアパスを解説します。
1.1 インフラエンジニアの役割と種類
インフラエンジニアとは、一言でいえば「システムの基盤(インフラ)を構成しているサーバー、ネットワークなどの機器を設置して利用できるようにするエンジニア」を表しています。
インフラエンジニアが関わる分野はさまざまですが、代表的なものにもとづいて種類を取り上げると、
1) コンピューターサーバーの設計、構築、運用管理を担うサーバーエンジニア
2) ネットワークの設計、構築、運用管理を担うネットワークエンジニア
3) クラウド技術のスペシャリストであるクラウドエンジニア
4) データベースのスペシャリストであるデータベースエンジニア
があります。
ただし、規模が小さいシステムではITインフラ担当として全体をまとめて取り扱うこともありますし、その一方で会社によってはシステムの運用管理だけを担う保守担当エンジニア、情報セキュリティを専門とするセキュリティエンジニアといったポジションが設けられているところもあります。
従って、実際にインフラエンジニアへの就職を目指して志望先を選定する際には「インフラエンジニアの中でもどのような仕事内容で募集しているのか」を確認しておくことが必要でしょう。
1.2 インフラエンジニアの年収
インフラエンジニアはITエンジニアの中でも比較的高い年収を期待できる職種です。
次の表は「求人ボックス 給料ナビ」から代表的なITエンジニアの平均収入についてまとめたものですが、インフラエンジニアは正社員であれば540万円となっています。
エンジニアの種別 | 正社員の平均年収 | 派遣社員の平均時給 |
インフラエンジニア | 540万円 | 2,238円 |
プログラマー | 434万円 | 2,240円 |
Webデザイナー | 458万円 | 1,949円 |
ITコンサルタント | 644万円 | 1,004円 |
(出典:求人ボックス 給料ナビから2023年4月3日現在)
ITエンジニアの年収は勤務場所や経験・求められるスキルによって大きく異なりますが、上位のポジションであるITコンサルタントを除いては高額といえるでしょう。
なお、インフラエンジニアの年収の詳細については以下のサイトもあわせて確認ください。
「【20代・30代】インフラエンジニアの年収は?転職するならシステムエンジニアとどっちが良い?」
1.3 インフラエンジニアのキャリアパス
インフラエンジニアはさまざまなIT技術を取り扱う職種であることから、その先のキャリアパスの選択肢も豊富に考えることができます。
インフラエンジニアにはIT関連の幅広い知識だけではなく、要件定義や設計、開発スキル、さらにはコミュニケーションスキルやマネジメントスキルなども求められることから、インフラエンジニアとして経験を積み重ねることで「プロジェクトマネージャー」「ITコンサルタント」などといった職種へのキャリアアップを実現する人もいます。
2.インフラエンジニアの種類と業務内容・働き方
(引用:https://www.photo-ac.com/main/detail/3875371)
次にインフラエンジニアが実際にどのような仕事を行っているのか、種類ごとの業務内容・働き方について詳しくみていきます。
先ほども紹介したようにインフラエンジニアは担当する分野に応じてそれぞれのスペシャリストとして分かれますが、ここではインフラエンジニアの代表的な種類である以下の4つを取り上げて解説します。
1) サーバーエンジニア
2) ネットワークエンジニア
3) クラウドエンジニア
4) データベースエンジニア
2.1 サーバーエンジニアの業務内容
サーバーエンジニアとはサーバーに特化したスペシャリストで、企業などで導入しているサーバーに関わる業務全般を担います。
サーバーにはWebサーバーやデータベースサーバー、ファイルサーバーなどさまざまな種類がありますが、インフラシステムに対するニーズに応じて必要な台数や個々の容量、導入や運用管理に伴うコストを考えてサーバーを選定し、スケジュールに従って機器を導入しOSのインストールと設定作業を行うことになります。
またサーバーを導入した後も、システムに対する要件の変化に応じてサーバーの追加増設や入れ替え、さらには運用しているサーバーでシステム障害が発生した際にはその対応を含めた管理を行うこともサーバーエンジニアの仕事です。
こういったサーバーの入れ替え作業などには全体のシステムを一旦停止して行わざるをえないこともあることから、夜間や休日の出勤が必要なこともあります。
また、サーバーエンジニアは実際の機器を扱う業務であることから、完全リモートで働くことは難しいという特徴があります。
2.2 ネットワークエンジニアの業務内容
ネットワークエンジニアとはITインフラの中でもネットワーク分野に特化したスペシャリストで、コンピュータネットワークに関わる業務全般を担います。
具体的にはインフラシステムに必要なネットワーク機器を導入し、サーバーやその他の電子機器をネットワークケーブルで接続した上で個々の設定を行い、各々が安定的に通信できるような環境を構築します。
そしてネットワークが運用されている状態になると、通信ログなどを確認することで安定的に稼働するように努め、何らかの問題が発生した際には復旧作業を行います。
ネットワークエンジニアについても、サーバーエンジニアと同様に実際の機器を扱う業務であることから、完全リモートで働くことは難しいです。
2.3 クラウドエンジニアの業務内容
クラウドエンジニアは、クラウドサービスを利用したシステムの設計、構築、運用管理を担当します。
クラウドエンジニアは企業のニーズに応じて適切なクラウドサービスを選定し、情報システムの構築の中でクラウドに関連する設計、開発、運用を行います。
具体的には、クラウドサービスを選定した上で、それを利用するための手続きと設定、仮想サーバーの作成、ストレージについての設定、構築後の保守などがあげられます。
サーバーエンジニアは物理的な機器であるサーバーを扱う作業も担当していることからサーバーが設置されている場所に赴いて接続作業などを行いますが、クラウドエンジニアはあくまでもクラウド環境上で動作するサーバーの設計・構築・運用管理を担当することからデータセンターなどで直接手を動かすことはありません。
2.4 データベースエンジニアの業務内容
データベースエンジニアは、データベースの開発や設計、運用管理を専門に担う技術者を指します。
具体的には、システムのデータベースに対する要件を満たすようにデータベースの構造やセキュリティ設定などを設計書に落とし込んだ上で構築作業を進めます。
そして、構築したデータベースを適切に利用できるように、アクセス権の設定やデータのバックアップ設定なども行います。
また、Webサービスなどでの検索スピードはデータベースシステムの環境や設定内容に依存することが多いことから、検索スピードを向上させるための改良もデータベースエンジニアが行う仕事として含まれることがあります。
3.インフラエンジニアの種類ごとに求められるスキル・資格
続いて、インフラエンジニアが仕事を行うにはどのようなスキル・資格が求められるのかについて解説します。
次の表はインフラエンジニアの種類ごとに求められるスキルと有効な資格についてまとめたものです。
種類 | 求められるスキル | 有効な資格 |
サーバーエンジニア | Linux/Unix/Windowsについてのスキルプログラミングスキル | LPIC |
ネットワークエンジニア | ネットワーク技術に関する知識ネットワーク製品を扱うスキル | シスコ技術者認定 |
クラウドエンジニア | クラウド技術に関する知識クラウドサービスを扱うスキルインフラ全般のスキル | AWS 認定ソリューションアーキテクト |
データベースエンジニア | データベースシステムに関する知識データベースの設計・構築・運用を行うためのスキルSQLと呼ばれるデータベース操作言語を扱うスキル | ORACLE MASTER |
インフラエンジニアとして仕事を進めるためにはこういった資格が必須というわけではありませんが、資格を取得することで体系的に学べるうえに自分のスキルレベルの証明にもなるので、インフラエンジニアを目指している方は取得しておくことをおすすめします。
3.1 サーバーエンジニアに求められるスキル・有効な資格
サーバーエンジニアに求められるスキルとしては、先ずはOSを含めたサーバーの知識が必要不可欠です。
インフラの中で利用されているOSにはLinuxやUnix、Windowsなどがあり、どれを採用しているかについては企業によって異なりますが、サーバーエンジニアとして設計、開発にたずさわるOSについてはそれを扱うための知識・スキルを押さえる必要があります。
その上で、サーバーエンジニアでもサーバー上で動作するプログラムであるバッチファイルやシェルを開発しなければならないことがありますので、Windows系OSのDOSやLinux系のシェルに関わる知識を身につけて、簡単なプログラムであれば開発できるようにしておくとよいでしょう。
そして、こういった知識・スキルがあることを証明するための資格はOSごとに異なりますが、代表的なものとしてLinuxに関するものを取り上げると「LPIC」になります。
「LPIC」はカナダのNPO法人Linux技術者認定機関であるLPIが認定する世界最大規模のLinux技術者認定試験であり、Linuxの技術力を認定するものです。
試験に出題される内容としては、サーバーの構築から運用管理についての知識、そして実務に即したシステムやネットワーク構築の設計、問題解決までの取り組み方などがあげられます。
3.2 ネットワークエンジニアに求められるスキル・有効な資格
ネットワークの構築、運用管理を専門として担うネットワークエンジニアには、ネットワーク技術に関する基本的な知識とともに、ネットワーク製品を扱うスキルが求められます。
例えば、ネットワーク環境が最適に機能するように配置するためのノウハウや、通信速度などで問題が発生した時の原因の解明・改善を行うための知識やスキルが必要です。
そして、こういったスキルがあることを証明するための資格として代表的なものを取り上げると「シスコ技術者認定」になります。
「シスコ技術者認定」はネットワーク機器メーカーのシスコシステムズが提供する資格であり、ネットワークエンジニアのデファクトスタンダードとも言える資格です。
シスコ技術者認定では幅広い資格が提供されていますが、まずは中小規模のネットワーク構築や運用といった基礎的なスキルの習得したい場合には入門的な「CCNA」を目指し、その後に上位資格である「CCNP」にステップアップするとよいでしょう。
3.3 クラウドエンジニアに求められるスキル・有効な資格
クラウドエンジニアには、クラウド全般についての幅広い知識・スキルとインフラ全般のスキルが求められます。
ユーザーが要求するインフラシステムでクラウドサーバーを取り入れるのであれば、クラウドエンジニアとしてクラウド技術に関する知識と共に各クラウドサービスを扱うスキルが必要になります。
また、クラウドエンジニアは既存の環境をクラウドに移行するためのプロジェクトにたずさわる可能性もあることから、サーバーについての基本的な知識も身につけておくと良いでしょう。
こういったスキルがあることを証明するための資格として代表的なものを取り上げると「AWS認定ソリューションアーキテクト」になります。
「AWS認定ソリューションアーキテクト」は世界最大のクラウドサービスを展開しているAWS(Amazon Web Services)が主催する民間認定資格であり、AWSの利用経験が1年程度であるインフラエンジニアを対象としたもので、クラウドの知識を証明する中級レベルの認定資格になっています。
3.4 データベースエンジニアに求められるスキル・有効な資格
データベースエンジニアに求められるものは、「データベースシステムに関する知識」「データベースの設計・構築・運用を行うためのスキル」「SQLと呼ばれるデータベース操作言語を扱うスキル」です。
現在、企業などで採用されている主なデータベースシステムとしてOracle、Microsoft SQL Server、MySQL、PostgreSQLなどがありますが、この中で実際に取り入れられている製品についての深い知識が必要です。
そしてその知識を活用して実際に設計・構築・運用を行えるようにならなければなりません。
例えば、パフォーマンスを最大限に発揮できるようなシステム設定方法やテーブル設計、あるいは利用者に応じて権限を適切に管理するための技術などが必要になります。
さらに、データベースエンジニアはデータベースを操作するためのコマンドであるSQLを取り扱えることも必須の条件です。
こういったスキルがあることを証明するための資格はベンダーごとのものになりますが、データベースシステムの中でシェアが高いOracleを取り上げると「ORACLE MASTER」になります。
「ORACLE MASTER」とは、オラクル社のデータベース製品「Oracle Database」についての知識やスキルを認定する資格です。
この試験ではデータベースの管理/運用のほか、SQLの知識を問う問題が出題されますので、試験勉強に取り組むことによって、データベースやSQLのスキルを身につけることができます。
ORACLE MASTERはその難易度に応じてBronze、Silver 、Gold、Platinumの4段階が設けられていますが、データベースエンジニアを目指している方はSilver以上を取得しましょう。
3.5 未経験者が最初に身につけるべきスキルと有効な資格
これまではインフラエンジニアの中でもサーバーなどのスペシャリストを対象としたスキル・資格を紹介してきましたが、「まだ自分がどの種類のインフラエンジニアを目指すべきなのか分からない」という方もいると思います。
そこで、この章の最後として未経験者からインフラエンジニアを目指すにあたって最初に抑えておきたいスキルと有効な資格について紹介します。
インフラエンジニアに対して第一に求められるものは、サーバー、ネットワーク、データベースなどといったIT機器についての基本的な知識、そしてシステムの設計、開発、運用管理に関する一般的な知識やスキルです。
そして、こういった知識やスキルを証明するためにおすすめの資格は「ITパスポート試験」と「基本情報技術者試験」です。
「ITパスポート試験」と「基本情報技術者試験」はいずれも独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の国家試験であり、出題分野としてはネットワークを含めたシステムの設計・開発・運用管理などの技術に関する問題だけでなく経営戦略やプロジェクトマネジメントまで多岐に渡っています。
「ITパスポート試験」がすべての社会人を対象としているのに対し「基本情報技術者試験」は情報技術者を対象としていることから、「基本情報技術者試験」のほうが難易度は高くなります。
4.インフラエンジニアの種類ごとに働く人の声を調査
(引用:https://www.photo-ac.com/main/detail/25362819)
これまではインフラエンジニアに関してその仕事内容や求められるスキル・資格について解説してきましたが、インフラエンジニアとして働くことでどのようなやりがい、あるいは悩みなどがあるのかについても気になるところでしょう。
そこで、この章では実際にインフラエンジニアとして働いている人が「仕事をする中でどのようなことを考えているのか」について、Twitterに投稿された口コミをその種類ごとに紹介します。
インフラエンジニアとして就職した後に、「こんな働き方とは思わなかった・・・」といった後悔をしないためにもひとつの参考にしてください。
4.1 サーバーエンジニアの実例・働く人の声
■モノづくりが好きな人には魅力的な職種
(引用:https://twitter.com/brianAnnie/status/1110867360339025920)
サーバーエンジニアの仕事はこのようにサーバー機器などに実際に触れて業務を進めることが多いことから、機械いじりが好きな人にはそれがやりがいとなります。
私用のパソコンを自分で組み立てたり、故障しても自分で修理したりする経験がある方にはおすすめです。
■休日も障害対応に追われることが・・・
(引用:https://twitter.com/CrabStick_codm/status/1530467769325875200)
ITインフラでのサーバーは常に稼働しているものであり、トラブルは深夜や休日を問わず発生する可能性があります。
夜間や休日に関係なく障害対応することによってプライベートの予定が犠牲になることは、サーバーエンジニアがきびしいと言われる理由の1つです。
ただし、休日に作業したのであれば代休などが割り当てられる企業も多くありますので、就職の際にはそういった制度についても確認しましょう。
4.2 ネットワークエンジニアの実例・働く人の声
■ネットワークが思い通りに接続できれば喜びも大きい
(引用:https://twitter.com/m4quick/status/1334752811888693249)
ネットワークが安定的に接続することは、ITシステムが正常に稼働するために必要不可欠な条件です。
ネットワークの構築には試行錯誤といった苦労も伴いますが、無事につながったときの達成感は他に代え難いものでしょう。
■会社にいなくても障害対応に追われる・・・
(引用:https://twitter.com/windows_update/status/489649280093655040)
ネットワークエンジニアもサーバーエンジニアと同様に何か障害があれば対応する必要があり、このように外出先でも電話で呼び出されるといったこともあります。
ただ、多くの企業ではネットワークは2重化されており、完全に停止するといったことはサーバーなどに比べて可能性は低いです。
4.3 クラウドエンジニアの実例・働く人の声
■最新の技術に携われることがやりがいにつながる
(引用:https://twitter.com/poly_soft/status/1494266436193292303)
クラウド技術はIT技術の中でも比較的新しいものであることから需要が高く、さらに最先端の技術を取り扱っていることがやりがいとする方もいます。
4.4 データベースエンジニアの実例・働く人の声
■インフラエンジニアはずっと勉強しなければならない
(引用:https://twitter.com/qaz_challenge/status/1575547820484210688)
これはデータベースエンジニアに限った話しではありませんが、インフラエンジニアはどのような業務が担当であってもスキルアップを目指すことが欠かせません。
5.年収が高く、その先のキャリアの幅も広がるインフラエンジニア
(引用:https://www.photo-ac.com/main/detail/25226325)
この記事ではインフラエンジニアの種類、仕事内容、必要なスキル・資格を中心に解説しました。
インフラエンジニアは、ITシステムの基盤である機器・設備を扱う重要な職種であり、その年収も一般的なエンジニアと比較して高い傾向にあります。
また、インフラエンジニアはITについての幅広い知識・スキルが求められる仕事であることから、実務経験を積み重ねることでさまざまなキャリアパスを描くことが可能になる職種であるともいえます。
ただし、企業やプロジェクトによっては夜勤や休日出勤が必要になることもあり、SNSサイトなどで「きつい」「やめとけ」といった声も上がっています。
そういった職場環境については外からではなかなか見えない面もありますので、後悔のない企業選びをするためには就職エージェントに相談するとよいでしょう。
CODE×CODE CAREERは、特に未経験者からSE・インフラエンジニアを目指している方を手厚くサポートしている就職支援サービスです。
無料のカウンセリングも行っていますので、インフラエンジニアに少しでも関心のある方はぜひ活用してみてください。
以上。