前回はネットワークエンジニアについてざっくりと説明しました。
今回はCiscoという会社について学んでいきましょう。
Ciscoとは?
ciscoとは、アメリカのカリフォルニア州サンノゼに本社を置く、ネットワーク機器の開発、販売会社です。
ネットワーク機器の開発を行う会社として世界最大の会社になります。そのあたりも後程詳しく学んでいきましょう。
皆さんのご自宅にあるルータやモデム、ONUなどは、NTTのような日本の通信事業者やプロバイダーが提供していますよね?
なので、
「Ciscoなんて見たことないよ!」と思うかもしれませんが、通信事業者が構築しているインフラや、オフィス内や店舗のネットワークなどではCisco製品がよく使われています。
CMも流れているので、見たことがある方もいるのではないでしょうか。
Ciscoの歴史
1984年に旦那の Leonard Bosack と妻の Sandy Lerner の夫婦が起業しました。社名の由来はサンフランシスコから来ています。またロゴは、サンフランシスコの名所、ゴールデンゲートブリッジを象ったものです。
二人ともスタンフォード大学のコンピュータ管理の仕事を行っており、在職中にCisco機器で使われてるOS「IOS」のベースとなるOSを作成しました。
わずか6年後の1990年には、時価総額2億2400万ドルでNASDAQ株式市場に上場しました。当時の円に換算すると、約150億円の市場価値をもった企業まで成長しているということです。しかしこの時、創業者の Leonard Bosack は当時のCEOとそりが合わず解雇されています。
その後、自社開発とM&Aなどを行いながら成長し、2019年8月時点で時価総額約2040億ドル、従業員数約74200人の大企業になりました。
日本法人は1992年に設立されています。
Ciscoの事業
Ciscoの主な事業はネットワーク機器の開発と販売です。スイッチやルータ以外にも、
・wifiアクセスポイントやワイヤレスコントローラ
・Web会議サービスやその端末
・IoT機器サービス
・次世代ファイアウォール、webベースで管理できるAMPと呼ばれるマルウエアの防止・分析サービス、Eメールセキュリティサービス
など多岐にわたります。最近では機器だけでなくサービスを幅広く提供しており、特にセキュリティに力を入れているようですね。
最近ではクラウド事業にも参入しています。
Cisco製品
製品はたくさんあるので、ここではスイッチ、ルータ、ワイヤレスについてみていきましょう。
スイッチ
スイッチにもたくさん種類があり説明しきれませんが、主にレイヤ2でデータを処理するためのネットワーク機器のことです。
レイヤとは…通信をするにはデータを送りますが、そのデータにはいくつもの追加データをつけてネットワーク上を流れていきます。例えば、「おはよう」と書いたメールを送る場合、まずそのデータがメールデータであることが分かるためにデータが追加されます。その追加するタイミングが大きく分けて7つあることから、その7つをまとめてOSI参照モデルといいます。スイッチはこの内のレイヤ2(データリンク層)のタイミングのデータを処理するネットワーク機器です。詳しくはまた別の記事でご紹介します。
図からもわかるように、スイッチには沢山のポート(ケーブルの差込口)があり、複数台のネットワーク機器と相互に通信を行うことができます。
そのため冗長構成にしたい場合や、ネットワーク網を集約する、または分けるのに利用できます。
ルータ
ルーターでもルータでも意味は同じです。見た目はスイッチに似たものもありますが、役割が違います。スイッチは主にレイヤ2のデータを処理するのに対し、ルータはレイヤ3のデータを処理するネットワーク機器です。(スイッチにもレイヤ3データを処理できるものもあります)
ルーティングという、データの送り先の経路をルータ自身で計算して導くことができます。
そのため通信経路を細かく設定することができます。
ワイヤレス
Ciscoが用意しているワイヤレス製品にはアクセスポイントやコントローラがあります。
アクセスポイントは、ご自宅にあるルータなどをイメージしてください。wifiを接続するためにwifiの名前(ESSID)を選択してパスワードを入力しますよね?
あのアクセスポイントを発信している機器をそのまま、アクセスポイント(AP)と呼びます。
企業などで使う場合、家庭用と違い複数台のAPを設置し設定しなければなりません。そのため、設置しているAPを一元で管理するための機器がコントローラです。
Ciscoのシェア
IDC JAPANが2019年7月に発表した、国内ネットワーク機器市場の2018年度のシェア調査結果です。
御覧のように日本国内にもかかわらず、Ciscoが市場の47.9%を占めています。
そのためCisco製品を扱うことができれば、国内のネットワークの現場の半分は知見を持ってアサイン(現場入り)することができます。
ですので、Ciscoが実施しているベンダー試験の一つ、CCNA(Cisco Certified Network Associate)を取得していると、ネットワークについての知識があるという証明になります。ベンダー資格ですが 今もなお 強い効力を持つのはこういった理由があるからです。
まとめ
読んでいただいたように、Ciscoは創業35年以上経っているにもかかわらず、世界中のネットワークを支える世界最大のネットワーク機器企業です。
特にインフラエンジニアとしてはCisco製品は知っておくべきものなので、今後ネットワークに興味がある方は是非購入して操作してみるとよいでしょう。
新品は高額ですが、型落ちの中古であればオークションで安く入手することができます。IOSのバージョンによって使える機能やコマンドが変わってきますが、基本は同じですので、CCNAの取得を目指す方は一度購入を検討するのもよいかもしれません。
今後もIT業界やエンジニアについてまとめていきたいと思いますので、気になる方はまた見に来てください。