IT資格の登竜門として「LPIC Level1」を取得しておけ!という話はよく耳にしますが、正直このLPIC Level1は、IT初学者の方が独学するには少しハードルが高めです。
この記事では、そんな少し高めのハードルをIT初学者の方でも越えてもらえるようにするためのLPICの学習ノウハウをお伝えさせていただくための記事です。
まずは、第1回ということでLPIC以前にLinuxとは何なのか、なぜLinuxを利用するのかというお話から始めていきたいと思います。
Contents
Linuxって何?
Linuxというのは、WindowsやMac OSといったOS(オペレーティングシステム)の一種です。
WindowsやMac OSは普段みなさんが利用されていることが多いOSだと思いますが、LinuxというOSを聞いたことがある人は比較的少ないのではないでしょうか?
Linuxには、以下のような特徴があります。
1.無料である。
2.WindowsやMacOSより安全に利用することができる。
3.安定している。
4.動作が軽快。
解説していきます。
無料である
Linuxは、オープンソースと呼ばれる形態で配布されているため、無料で利用することができます。
※オープンソースとは・・・ソースコードを公開するので、好きに改造してくれていいですよ~というコンセプトでプログラムを配布する形態のこと
無料でなおかつ、改造がしやすいため膨大な種類のLinuxが存在します。
ちなみにこのLinuxの種類のことをLinuxディストリビューションと呼びます。
例えば、企業などでサーバーを導入しようとなった場合、「Windows Server」というOSが存在するのですが、Windowsなので当然高額でコストがかかってしまいます。
そんな時に利用されるのが、このLinuxなわけですね。
OSのシェアという意味ではLinuxは2%未満の利用率ですが、ことサーバー分野においての利用率は、なんと70%にも及びます。
WindowsやMacOSより安全に利用することができる
前述の通り、OSの全体の使用率のうちLinuxのシェアはわずか2%以下です。
例えば、皆さんがウイルスの開発者だとするならどのOSを標的にしますか?
・・・当然90%近くのシェアを誇るWindowsを標的にしますよね。
さらに、これはLinuxを勉強していくうちに理解することができるのですが、Linuxはとてもウイルスに対して強い構造になっています。
以上の理由から、Linuxはウイルス制作者から狙われにくく、Linux向けのウイルスはまだまだ数が少ない状況になっています。(もちろんあることにはあります。)
安定している
Linuxは、OSを動作させている中核部分とそれ以外のデータが必ず別の場所で管理される構造になっています。
たとえ、Linuxで動作中のプログラムがクラッシュしてもOSの動作に影響を与えることはありません。
これについても、勉強していくうちに理解できるでしょう。
動作が軽快
LinuxはWindowsやMacOSなどといったOSに比べるととても動作が軽快です。
もちろん、Linuxの種類にもよるのですが10年以上前のPCでWindowsがまともに動かすことができなくなっていてもLinuxを導入すれば、復活させることもできる可能性もあります。
もしも家に古くて誰も使っていないようなPCが放置されているという方は、試しにLinuxを導入してみるのもいいかもしれませんね。
お金も一切かかりませんので。
Linuxは何に使われるの?
それでは、Linuxとは何のために使われるのかを説明していきます。
Linuxは、Windowsのように家庭用に使われることは少ないです。
主に企業用のサーバーOSとして利用されることが多いOSです。
Linuxが企業に利用される理由としては、先ほど挙げた無料である点も挙げられるのですが、サーバー用にカスタマイズされたLinuxディストリビューションが存在するということも大きなポイントです。
さらに、サーバーを設定するためのソフトウェアも豊富にそろっているうえ、そこまで操作も複雑ではないため、マニュアルさえあれば初心者の方でも簡単にサーバーを設定することもできます。
以上の理由から、Linuxは企業のサーバーOSとして大きな支持を誇っているというわけです。
ちなみに、家庭用にカスタマイズされたLinuxディストリビューションも存在していて、最近はかなりアプリなども対応してきているため、インターネットかメールか程度の使い方をしているという方はLinuxでも十分実用することができると思います。
コラム:サーバーとは?
サーバーとは、ネットワーク上でサービスを提供しているコンピュータのことを言います。
また、サービスを利用するコンピュータのことをクライアントと呼びます。
どういうこと?と思われる方も多いと思います。
それでは、Webサーバーというサーバーを例にして簡単に説明します。
例えば、皆さんは今このサイトをPCかモバイルで閲覧していると思うのですがこのサイトの中身というのは、すべて弊社のWebサーバーから提供されているものなのです。
まず、皆さんのPCがこのサイトにアクセスした瞬間にWebサーバーに「a-academy.jpの情報をください!」とお願いをします。すると、Webサーバーは「いいですよ!どうぞ!」とWebサイトの情報を渡してくれるわけです。
これが、Webサイトを表示する際の仕組みです。
このようにサーバーというのは、クライアントに頼まれたことを実行するための機能が詰まったコンピュータです。
機能によって、「Webサーバー」「メールサーバー」「ドメインサーバー」「データベースサーバー」などと名前が変化します。
Linuxの種類について
先ほど、Linuxには様々な種類があるという話をしましたが、具体的には、どういった種類があるのでしょうか?
Linuxには、大きく分けて以下の4つの派閥が存在しています。
・RedHat系
・Debian系
・Slackware系
・その他独立系
それぞれの派閥ディストリビューションは以下のように枝分かれして開発されていきます。
各ディストリビューションのシェア率も載せておきますので参考までに
それでは、各派閥について簡単に解説していきます。
RedHat系
RedHatと呼ばれる、サーバーに特化したディストリビューションとそれをもとに制作されたLinuxディストリビューションのことをRedHat系Linuxと呼びます。
この系統のディストリビューションは主にサーバー用のOSとして開発されることが多いです。
代表的なものとして、「RedHat Enterprise Linux(RHEL)」「CentOS」「Debian」などが挙げられます。
ちなみにRHELは有料のディストリビューションであるため、利用には料金がかかってしまいます。
ですが、RHELを基に作られた「CentOS」というディストリビューションがほとんどRHELのコピーなので、こちらがよく利用されます。
Debian系
DebianというLinuxディストリビューションとそれをもとに制作されたLinuxディストリビューションのことをDebian系Linuxと呼びます。
ユーザーフレンドリーを目指したLinuxディストリビューションで、デスクトップ用途に特化したディストリビューションが数多く開発されています。
代表的なものとして、「Ubuntu」「Linux Mint」などが挙げられます。
Slackware系
SlackwareというLinuxディストリビューションとそれをもとに制作されたディストリビューションのことをSlackware系Linuxと呼びます。
こちらは、先ほどの2大派閥に比べるとマイナーですが、とにかくシンプルを目指したディストリビューションです。
便利な機能は少ないかもしれませんが、その分Linuxというものの本質に触れることができるディストリビューションです。
勉強用にはちょうどいいですね。
このSlackwareは最古のディストリビューションとして有名で、ニッチなファンが多いみたいです。
代表的なものとして「OpenSUSE」が挙げられます。
その他独立系
先ほどの3つの派閥のほかにもLinuxディストリビューションは膨大な数あります。
例えば、ほとんどカーネルのみで構成されている「Arch Linux」が有名です。
このArch Linuxは、最初はカーネルのみの構成となっており、そこからユーザー自身がカスタマイズをして、ユーザーの好きにディストリビューションを構成することができるというディストリビューションです。
また、皆さんのスマホにもAndroidというOSがありますよね?
あのAndroidもLinuxディストリビューションの一種です。
このように、Linuxは様々な種類が存在するため、用途に特化したOSを利用することでシステムを簡単に作ることもできるわけですね。
今回は、Linuxについて、概要と特徴を説明させていただきました。
Linuxは、マイナーなOSなので色々と不便な点はありますが、それを補って余りあるほどの利点も持っています。
Linuxを勉強して、操作をすることができるようになればIT企業のサーバーエンジニアとして就職することも可能になります。
ですが、操作自体はそこまで難しいものでもないので、興味のある方は気楽に勉強をしていきましょう。
興味を持っていただけたのでしたら、ぜひ次回の記事もご覧になってください。