収入が高く安定して働けるという評判が高まって、クラウドエンジニアという業務に興味を持つ方が増えています。
一方で興味はありつつも、クラウドエンジニアとはどのような仕事なのか、自分にもできそうなのか、実際の業務内容をご存知ない方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、クラウドエンジニアの具体的な仕事内容や、一日の過ごし方について紹介します。また、希望するような転職先を探す方法についても触れています。
IT未経験のエンジニア転職で、比較的年収が高く、将来性があるクラウドエンジニアへの転職について、参考になる点があれば幸いです。
Contents
クラウドエンジニアの仕事内容は?もれなく書き出してみた!
クラウドエンジニアの仕事は、企業やサービスのインフラシステムを、クラウドサービスを活用して構築・運用することです。
例えば、ある企業がECサイトを構築する場合に、そのサイトを実装するためのインフラシステムを構築したり、運用したりします。
それぞれの作業について、詳しく紹介しましょう。
クラウドエンジニアの主な仕事内容
- 要件定義
- 設計作業
- テスト設計・テスト実施
- 継続的な最適化
- サービスの保守・監視
要件定義
要件を適切に定義するのが、クラウドエンジニアが関わる最初の業務です。
お客様がインフラシステムを設計するということは、そのシステムを作成する目的があるはずですね。例えばECサービスを開始するためとか、Webサイトを構築するため、などが目的です。
その目的を達成するために必要な機能や性能のことを「要件」と言い、それらを漏れなく洗い出して、明確にする必要があります。この作業を要件定義と言います。
要件定義は、単に機能を盛り込めばよいというものではありません。インフラシステムが処理できるリソースの量や、ネットワークのレスポンスなどの性能面の「非機能要件」を適切な値に設定することは、クラウドエンジニアにとっての知識や経験の見せ所です。
構築して運用を開始した後になって、「やっぱりこういう性能も必要だった」ということが無いように、必要な要件をしっかり洗い出して、要件定義書にまとめます。
ちなみに、要件定義書は現場ごとにフォーマットやルールがあるので、それにならって作成すればOKです。他の案件の要件定義書をいくつか確認することで、書類の書き方の参考になると共に、要件の漏れにも気付けます。
この要件定義書に基づいて、その後の設計や構築後のテストも行われるので、とても大事なフェーズです。さらにお客様との適切なコミュニケーションも必要になるので、エンジニアとしてのスキルとクライアントワークの両方のスキルを持った上流工程の作業になります。
設計作業
要件定義書に基づいて、インフラシステム全体の構成を検討するのが設計作業です。
設計作業フェーズでは「インフラ構成図」や、さらに詳細な仕様を定義する「システム設計書」などのドキュメントを成果物とするのが一般的です。
こちらは、AWSを使用した場合のインフラ構成図のサンプルです。
このひとつひとつの四角いアイコンが、AWSのサービスを表しています。サービスをこのように組み合わせて、システム全体を設計するのです。ただし、クラウドエンジニアの設計作業は、単にサービスを組み合わせるだけではありません。
クラウドエンジニアが設計作業で検討するべき、代表的な項目を紹介します。
設計作業で検討する代表的な項目
- 高い可用性の確保
- 動的な拡張性
- 保守・運用の自動化
高い可用性の確保
可用性とは、システムが正常に稼働する性能のことです。「可用性が高いシステム」は、障害の発生が少なく、システムが使えなくなる時間が短いシステム、という意味になります。
可用性を数値で表すのが稼働率です。例えば稼働率99%というと、1カ月間の停止時間が7.44時間ということになります。
稼働率と、1ヵ月、1年の停止時間の関係は次の通り。
稼働率 | 1ヵ月の停止時間 | 1年の停止時間 |
99% | 7.44時間 | 87.6時間 |
99.9% | 44.64分 | 8.76時間 |
99.99% | 4.46分 | 52.56分 |
「稼働率を一定以上に維持すること」をシステム利用者に約束することを、SLA(Service Level Agreement)といいます。
お客様に提供するインフラシステムの稼働率を一定以上にキープするためには、ベースとなる「クラウドサービスのSLA」も意識しなければいけません。クラウドサービスそのものが停止してしまう可能性もゼロではないからです。
クラウドサービスや、その中の個別のサービスごとにSLAは異なります。使用するサービスのSLAを理解しながら、そのレベルを過信しすぎないように、例えばサービスを複数使って冗長化したり、急激なアクセスの増加などにも対応したりできる仕組みを作るなど、堅牢な仕組みとなるように設計する必要があります。
動的な拡張性
「動的」とは、状況に合わせて変更できる仕組みのことです。
クラウドサービスのメリットとして、サーバーなどのサービスを自由に増やしたり削除したりできる柔軟性があります。例えば、サーバーへのアクセスが増えてきたら自動でサーバー台数をスケールアウト(増やす)して対応し、アクセスが落ち着いたら基準の数にスケールイン(サーバー台数を減らす)するなど、性能面でもコスト面でも効率的に管理できる動的な仕組みを作れるのです。
ですが、インフラシステムとしてそのメリットを活かすためには、サーバー数の増加によって、システムの処理能力も向上する仕組みにしなければいけません。
例えば、データの持ち方について。ユーザーのセッションデータや共有するコンテンツデータは、Webサーバー内に持つのではなく外部に持つようにします。これによってWebサーバーをアクセス処理に専念させられるため、サーバーを増やすことを処理能力のアップにつなげられるのです。
動的な拡張性を持つ設計のポイントは他にもいくつかありますが、その一つに非同期処理があります。
例えば、ユーザーからのアクセスをWebサーバーが受信してデータベースに書き込む場合、その一連の処理には時間がかかるために、ボトルネック(ここが原因で、全体のパフォーマンスが落ちてしまう部分)になってしまいかねません。仮にWebサーバーを増やしても、そのボトルネックは解決しないため、レスポンスは改善されないのです。
そのような場合は、例えば一旦メッセージを溜めるキューを使うことで、時間のかかるデータベースへの書き込みを後回し(非同期)にできます。それによってレスポンスの遅れが減り、Webサーバーの増加が処理能力の向上になるのです。
このキューも、サービスとして用意されています。AWSでは、SQS(Amazon Simple Queue Service)というサービスが、Microsoft AzureではQueue Storageというサービスが、この役割を担ってくれます。
このようなサービスの存在を知っていること、そして適切に使うことも、クラウドエンジニアに求められるスキルです。
保守・運用の自動化
インフラシステムが稼働した後の保守作業や運用方法についても、設計時に計画します。
その際にはできるだけ自動化して、人手の関わる部分を減らす仕組みを検討します。人手が多いと人件費が増えるのと同時に、作業ミスの増加も避けられないためです。
クラウドサービスを利用することで、1台のサーバーを構築することも100台構築することも、手間としてはあまり変わらなくなってきました。そのため少人数で大規模なシステムを運用できるようになり、数十~数百万のユーザーが利用するB2Cサービス(一般消費者に向けたサービス)をわずか数人で運営していることもあるほどです。
人件費の少なさはサービスの価格競争にも影響しますし、手作業のミスが減ることもユーザー満足度の向上からサービスの優位につながります。
こういった自動化のためのサービスも、各社クラウドサービスでは提供されています。そのようなサービスや自作プログラムなども駆使して、保守や運用をできるだけ自動化する仕組みの検討も、設計に含まれるのです。
システム構築作業
設計されたシステムを実際に構築するのが、システム構築作業です。
とはいえオンプレミス時代のように機器を手作業で設置するのとは異なり、PCのブラウザからサービスを操作して構築します。
設計フェーズの成果物である、インフラ構成図やシステム設計書の通りに構築するのが原則です。
システム構築には、サービスを操作するスキルが求められます。
一例として、AWSにあるAmazon CloudWatchというサービスについて説明しましょう。これはインフラシステム内の「サービスの状態を監視する」ためのサービスで、ログが閾値を超えた場合などに実施するアクションを設定できます。
例えば、ネットワークの送受信パケット数が一定数を超えた場合に、プログラムを実行して管理者のチャットに状況を送信するような仕組みを構築するとしましょう。
この仕組みを構築するためには、CloudWatchというサービスの仕様と操作を理解して設定するほかに、プログラムを実装してLambdaというサービスに登録するスキルも必要になります。Lambdaで使用できるプログラム言語はJava、C#、Python、Ruby、Node.js、Goなどで、これらのプログラム言語による処理モジュールの開発スキルも要求されます。
このように構築作業には、サービスやプログラム言語を実装するスキルが求められるのです。
テスト設計・テスト実施
インフラシステムを構築したら、システムが定義された通りに構築されているか、期待された動作をするか、テストするのもクラウドエンジニアの仕事です。
テストは、システム設計書をベースにしてチェックリストを作成します。
例えば負荷テストの場合は、次のチェックが行われます。
- 性能テスト:システム想定内の負荷に対する、スループット(処理能力)やレイテンシ(反応時間)の確認
- 耐久テスト:長時間、高負荷をかけた状態の動作の確認
- 限界テスト:システムの想定を超えた負荷に対する、エラー処理などの確認
チェックリストを作成したら、テストを実施するのはエンジニアでなくてもよいのですが、チェックするべき項目に漏れがないことや、非機能要件を正しく確認するためのテスト方法を明確にして、結果もドキュメントに残すことが必要です。
継続的な最適化
サービスの稼働後に、お客様のサービスの変更により、インフラシステムの仕様変更が必要になる場合もあります。その場合は機能追加を実施して、要求に応えることになります。機能追加の際にも、要件定義からテストまで、ドキュメントを残しながら作業します。
またクラウドサービスは、継続的にサービス内容をアップデートしています。それによってコストを下げられる場合、サービスレベルを向上できる場合などには、インフラシステムを新しいサービスに最適化することもあります。
このように、運用後にも定期的にシステムを見なおして、最適化し続けるのもクラウドエンジニアの仕事です。
サービスの保守・監視
インフラシステムは、ネットワークサービスの基盤となる重要なものです。そのため、長期間安定的に稼働することはもちろん、状態を監視して問題がありそうであればすぐさま対処する必要があります。
このようにインフラシステムの保守・監視も重要もクラウドエンジニアの重要な仕事です。とはいえ、オンプレミス時代のようにサーバーの側で定期的に確認する必要はなくなり、PCのブラウザ上から全サーバーの監視もツールでできるようになりました。
むしろ問題が発生した際に、自動的に管理者に通知される仕組みが重要になります。
以上、クラウドエンジニアの仕事内容について紹介しました。
いろいろと書きましたが、インフラシステムという土台を扱うこともあって、新人のうちは比較的定型化した作業が中心です。未経験からでもできる作業なので、大丈夫。そして、与えられた目の前の仕事をひとつひとつ身に着けることで、必ずスキルアップできます。いずれ設計や要件定義といった上流工程に携われるようになれば、やりがいも収入もさらにアップするはずです。
クラウドエンジニアの年収と将来性は?
高い年収と将来性が見込めると評判のクラウドエンジニア。
実際のところ、クラウドエンジニアへの転職によって、そのメリットは得られるのでしょうか。
クラウドエンジニアの年収について
結論としては、クラウドエンジニアになることで、高い年収が見込めます。
求人ボックスさんの「給料ナビ」というWebサイトで、日本人の平均年収とクラウドエンジニアの年収が公表されていたので、比較しました。
日本の平均 | クラウドエンジニア | |
平均年収 | 436円 | 595万円 |
月収換算 | 36万円※ | 50万円 |
※日本の平均を12で割って算出
エンジニアの年収は比較的高いものですが、クラウドエンジニアになることで、日本の平均よりも159万円もの年収アップを見込めます。
参考までに、「システムエンジニア」という枠組みでは、平均年収が556万円です。クラウドエンジニアになることで、システムエンジニアを超える年収も見込めます。
もちろん、実務経験や実績に応じてピンからキリまであるのでしょうが、クラウドエンジニアとしてスキルを積むことで、大きな収入アップにつながることがわかります。
ただし、もちろんスキルや実績によって収入も変わります。未経験からの転職直後では期待したほどの収入に届かないかもしれません。
それでも現場で学びながらスキルを上げることで、より良い職場への転職もしやすくなるでしょう。エンジニアとしての成長がそのまま収入に繋がっていくのだと思います。
クラウドエンジニアの将来性は?
筆者の見解ですが、「クラウドエンジニアはとても将来性のある職種である」と考えています。
なぜクラウドエンジニアに将来性があると考えられるか、3つの理由を紹介します。
将来性があると考える理由:その1 クラウドを導入する企業が増えているため
将来性のある理由の一つ目は、クラウドを使う企業が増えているからです。
こちらは総務省の「クラウドサービスの利用状況」というグラフです。
2015年から2019年までの資料ですが、クラウドの利用が44.6%から64.7%と、1.5倍もの急激な増加が見て取れます。
また、こちらも同じく総務省の「クラウドサービスの効果」の資料です。
クラウドサービスの効果があったとの回答が、85.5%にも及んでいます。
先の資料と合わせると、クラウドサービスを利用する企業は増えており、さらにその評価も高いことがわかります。
また、クラウド化の兆候は世界的なものです。
このグラフはSynergyというアメリカのIT関連データ会社の記事を引用したものです。
2016年から2020年までのクラウドインフラストラクチャサービスへの支出(第2四半期)が、年々増加して300億ドルにまで達したことがわかります。
このように、世界的にクラウドサービスを利用する流れになっていることで、今後もクラウドサービスの拡張は続き、クラウドエンジニアのニーズは簡単には縮小しないと思われます。
これが将来性のあると考える理由の一つ目です。
将来性があると考える理由:その2 ITエンジニアの不足が予測されているため
将来性のある理由の二つ目は、エンジニアが足りていないことです。
日本国内においては、ITエンジニアが不足しているという話を聞いたことがあるかもしれません。実際にそのようなデータがあって、将来的にはその不足がさらに加速するとも予測されています。
経済産業省の試算によると、2030年時点でのIT人材の需要に対する供給不足は、少なくとも16万人、多い場合には79万人にも及ぶとされているのです。
あくまで試算ですので実際に2030年にこのような状況になるかはわからないですが、少なくとも現時点でエンジニアが不足しているという実態があります。クラウドエンジニアとしての需要はもちろん、実務経験を積んでエンジニアとして成長することで、常に売り手市場で働き続けられる可能性が高いと考えられます。
ITエンジニアの不足と、それに伴って売り手市場に居られること。これが将来性のあると考える理由の二つ目です。
将来性があると考える理由:その3 インフラシステムに携わるメリット
将来性のある理由の三つ目は、インフラ系業務の安定性です。
インフラシステムに携わるという業務であることも、クラウドエンジニアが将来に渡って安定して働けると考えている理由です。
食いっぱぐれの無いスキルであること
インフラシステムはIT技術の基盤となるもの。これ無しには、インターネットもあらゆるサービスも使えません。縁の下の力持ちという役割ですが、とても重要な技術であることがわかりますね。
ITサービスを使うことが必須である現代だからこそ、その基盤であるインフラシステムに携わることで、仕事が無くなるということはあまり考えられません。インフラシステムのスキルがあれば「食いっぱぐれ無し!」というのは、安定的に仕事を続けて行く大きなメリットです。
スキルが長く活かせること
一度学んだスキルを長く活かせるというのも、インフラ系エンジニアのメリットです。
ITエンジニアというと、インフラ系よりもプログラマーを思い浮かべる方も多いかもしれません。Webアプリケーションやスマホのアプリなど、普段ユーザーである皆さんが直接触れているのは、プログラミングによって開発されたソフトウェアです。なので、一般的に考えられているエンジニアというのは、プログラマーが多いのではないかと思います。
筆者はこのプログラマーとして長く働いてきて、プログラム開発という仕事は楽しくはありました。また、自身で開発したソフトウェアを多くの人が使ってくれる、という喜びもあります。
しかし、大変だったのがスキルのアップデート。常に広く深く勉強し続ける必要があったのです。
先ず、WindowsやmacOS、iOS、Androidなどそれぞれのアプリケーションは、開発する環境も言語もお作法もバラバラです。それぞれの開発ソフトや言語について学ばなくてはいけません。
さらに、それぞれの開発で推奨される言語も時代と共に変わっています。例えばWindowsアプリケーションの場合、C++という言語からC#がメインとなりました。Apple系はObjective-Cという言語からSwiftに、AndroidアプリケーションもJavaからKotlinが主流へと変わります。
さらに大変なのが、これらの言語もどんどんとバージョンアップされていること。ある機能を組み込む実装方法(プログラムの書き方)が急に変わったり、今まで使ってきた命令が非推奨となって、古い物は動作しなくなったりもするのです。更新し続けることで最新のサービスを実現できるわけですが、それを常に追いかけなければいけないのは結構大変なのです。
これは、サービスが向上し続けているWeb系のプログラミングも同様でしょう。
一方のインフラ関連は、サーバーやネットワーク技術といった、ある程度「枯れた」スキルをベースとします。もちろん、オンプレミスからクラウドサービスのような大きな変化があったのでスキルアップは必要ですが、システムが実現するべき「安定してサーバーやネットワークを稼働させる」技術であることには変わりがなく、オンプレミス時代にスキルがあった方は、クラウドサービスではより楽に作業ができているはずです。
新しい技術をどんどんと取り入れることが楽しい方にはプログラマーも良いのですが、身に着けたスキルを長くじっくりと深めていきたい方には、筆者はインフラ系をオススメしたいです。
以上が、クラウドエンジニアには将来性があると考えている理由です。
需要が増えて、供給が不足しているブルーオーシャンのように見えませんか?
読者の皆さまは、どのように感じられたでしょうか。
クラウドエンジニアの一日を調査・妄想してみた!
クラウドエンジニアとは、どのような一日を過ごすのでしょうか。
筆者のエンジニア時代の経験と調査をもとに、妄想してみました。
1年目などチームの新人の場合
まだ経験の浅いメンバーは、上流工程で設計されたものの構築作業や、インフラシステムの監視作業を通じて仕事を覚える段階であると思います。
09:00 出勤・業務開始
今日は出勤しました。
クラウドサービスは自宅からでも操作できるので、ほとんどは在宅勤務なのですが、仕事でわからない点を直接先輩に教わりたかったので、先輩の出勤に合わせて出社しました。
出勤後はメールをチェックして、監視ツールからのアラームの通知がないことを確認します。
そして直後に行われる朝会に向けて、振り返りと今日の予定を整理します。
09:30 朝会
チームの朝会に出席します。
半分以上のメンバーは在宅勤務なので、Zoomでの開催です。
現在取り組んでいる作業について、進捗や問題点を報告します。
問題点は個人で解決できることなのか、先輩のサポートが必要なことなのかを切り分けて、サポートが必要な場合は、先輩に時間をもらいます。
10:00 作業
午前の作業は監視作業が中心です。
AWSでは、監視系のサービスへのアクセス権が与えられています。その操作を覚えながらメトリクス(評価のための数値)やログをチェックします。
12:00 お昼休憩
お昼休憩は1時間です。
ゆっくりご飯を食べて、毎日20分AWSの認定試験の勉強をしています。
13:00 作業
午後は、構築作業です。
今のインフラシステムの監視サービスに、閾値を超えた場合に音声データによる通話で管理者に通知する仕組みが加わることになりました。そこでAmazon Connectというサービスを使って、その機能を追加しています。
Amazon Connectは初めて使うサービスなので、Webサイトで仕様を調査して、実装しているのですが、どうしても稼働しません。この点を先輩に確認させてもらいました。
16:00 定例(週に一度)
チームで週に一度行われる定例に参加します。
半分以上のメンバーは在宅勤務なので、Zoomでの開催です。
朝会よりも長い時間をかけて、週単位での進捗報告などを行います。
先輩たちの作業進捗にも耳を傾け、どのような作業をしているのかを勉強します。
18:00 退社
今日は定時で退社です。
お疲れ様でした。
案件を任されているチームリーダーの場合
3年目程度で、個別の案件を任されているリーダーの一日の予定です。
09:00 出勤・業務開始
週の半分ぐらいは在宅勤務ですが、リリースが近づいているので今日は出勤です。
出勤後はまずメールをチェック、お客様からの連絡があれば優先して対応します。
09:30 朝会
チームの朝会を開催、チームで取り組んでいる案件の進捗を確認します。
リリースの時期が目前なのですが、非機能要件の一部がテストをパスできていないことの報告を受けました。
朝会後、担当者での打ち合わせを設置します。
10:00 打ち合わせ
非機能要件のエラーについての打ち合わせです。
想定される最大量の通信が発生した場合にレスポンスが遅くなって、SLA(お客様との約束値)を達成できていないことがわかりました。
通信を非同期処理に修正するという方針にして、その作業を最優先で実装するように指示します。
実装担当者の予定していた今日の作業は全て一日遅らせることを決定し、関係者に連絡しました。
11:00 お客様との打ち合わせ
お客様とZoomを使って、状況の報告を行います。
非機能要件にひとつエラーがあること、修正方針を決めて実装中であること、期日には間に合いそうという所まで連携します。
12:00 お昼休憩
お昼は、昨日の晩御飯の残りを詰めたお弁当を持ってきています。
深夜、0歳の息子にミルクをあげたので、少し寝不足です。
10分ほどでご飯を食べた後、デスクに突っ伏してお昼寝をします。
13:00 設計作業
今回のリリースが終わったら、すぐに別の機能追加が予定されています。
以前お客様と打ち合わせた要件定義に基づいて、AWS環境で実装するための設計を行います。
15:00 実装状況確認
非機能要件のエラー対策の進捗を確認します。
16:00までには、非同期処理の組み込みが終わりそうということなので、16:00から組み込みレビューと単体テストを実施すること、17:00からSLAを満たした修正になっているかの確認テストを行うように指示します。
また、今回の組み込みが二次バグを組み込んでいないかの確認のため、テストをもう一周回すことにします。明日テストを行えるように、テスト担当者に明日の作業の調整を指示しました。
16:00 組み込みレビューに参加
非同期化の実装が正しく行われているか、実装した担当者のレビューを受けます。
特に実装方法に問題は見つからなかったので、単体テストへの移行を指示しました。
17:00 テストに立ち会い
組み込んだ非同期処理によって、SLAを満たしたレスポンスを発揮するかのテストに立ち会います。
レスポンスが改善されたことを確認できたので、自分の作業に戻ります。
18:30 テスト結果確認
SLAのテストを終えた報告を受けて、テスト結果のドキュメントを確認しました。
SLAを超えるパフォーマンスになっていたので、OKとしました。
お客様に電話をして、問題が改善されたことと、明日の全体テストで問題が無ければリリースできることを伝えました。
19:30 退社
問題解決のために、今日は少し残業しましたが退社です。
お疲れ様でした。
未経験からクラウドエンジニアに転職するには?
クラウドエンジニアというお仕事が、今とてもオススメできるものだと、この記事ではお伝えしてきました。
では、IT業界未経験の方でもクラウドエンジニアになれるのでしょうか?
はい、筆者は十分可能だと考えています!
ただ、未経験でスキルや知識がないままでは、難しいのは否めません。仮に転職はできたとしても仕事が難しくて挫折してしまったり、転職できる企業も長く安心して働ける職場ではなかったりするかもしれません。
転職に際して、転職先企業の選択肢を持てるように、また現場で仕事ができなくて困らないように、転職に向けて準備したいことをご紹介します。
クラウドエンジニア転職に向けて準備したいこと
- 資格を取る
- IT /プログラミングスクールで学び、転職サポートを受ける
- 「自ら調べる+上手に頼る」のマインドセット
資格を取る
オススメしたいのが、資格を取るということです。
特に未経験の方には、資格を取得するメリットが沢山あると感じています。
- 初学者にとって、ちょうどよい目標になること
- 基礎から、体系づけた知識を得られること
- 一定以上のスキルがあることを採用者にアピールできること
- 意欲の高さや、目標達成能力もアピールできること
業務の基礎的な資格の勉強をすることで、全体の体系的な知識が得られます。これは頭の中に地図を作れるようなもので、いずれ現場での業務に携わる際にも、説明が理解できたり、これが全体の中のどの位置の作業なのかが理解できたりするのです。
当然仕事を覚えるのも早くなりますし、戦力として認められるまでも早まります。なにより自分自身が仕事を理解できるというのは、未経験の仕事であるほど心強いですよね。
もちろん、転職先へのアピールになることもメリット。採用する側の気持ちになるとわかると思いますが、スキルが必要な仕事に対して未経験者が面接に来たとします。
「未経験ですが、やる気はあります。仕事につけたら勉強頑張ります」という人と、
「未経験ですが、この資格を取得しました。即戦力になれるように頑張ります」という人、
どちらを採用したいでしょうか。もちろんスキルがある方ですよね。
さらに、勉強をしてきた人の方が、長く真面目に働いてくれそうに見えるのではないでしょうか。
転職に向けても、転職後の業務のためにも、資格の取得はぜひチャレンジしていただきたいと思います。
なお、クラウドエンジニアになるためにおすすめの資格は次の通りです。
- LPICレベル1
- CCNA
- 応用情報技術者試験
- AWSクラウドプラクティショナー
資格によっては、ホームページで学習サイトが準備されているものも多いです。無料で確認できるので、まずはそのページを覗いてみるのはいかがでしょうか。
これらの詳細は、こちらの記事を参考にしてください。
IT /プログラミングスクールで学び、転職サポートを受ける
未経験からエンジニアに転職するために、IT /プログラミングスクールを利用するルートも一般的になってきました。
スキルを学んだり資格を取ったりするために、独学では一番難しいゼロからイチのところを、講師に教わることで効率的・効果的に知識をつけられるのです。
また、IT /プログラミングスクールによっては、転職のサポートまでサービスに含まれているところもあります。
そのようなスクールでは、例えば「未経験者がクラウドエンジニアになりたい」という場合に、どのような準備をすれば転職できる可能性が高まるか、そのようなノウハウを蓄積しています。個人で試行錯誤するよりも、早く、高い可能性で転職に成功できるのです。
また、実績のあるIT /プログラミングスクールは、これまでに多くの企業とコネクションを持っています。せっかく転職した企業が、希望していたような職場でなかったら大変です。
そういったミスマッチを避けて希望に近い企業を斡旋してもらえるという点でも、サポートは有効なのです。
IT /プログラミングスクールに通うにはお金がかかりますが、その分早くスキルを学んで就職しやすくなると考えると、お給料もその分早く受け取れるので、長い目で見ればむしろ収入アップにつながるという見方もできます。
「自ら調べる+上手に頼る」のマインドセット
クラウドエンジニアに関わらず、ITエンジニアには必要な考え方があります。
それは、「自ら調べる」ということです。
エンジニアとして仕事をしていると、技術的にできないこと、方法がわからないことに毎日のように向き合うことになります。その時には、まず自分で調べることが必要です。わからないことは人に聞くのではなく、まず自ら調べる。このマインドが必要になります。
ただし自分で調べてみてもどうしてもわからない場合は、ずるずると時間を浪費してしまうことになりかねません。そのような場合にはしっかりと見切りをつけて、先輩などに上手に頼ることも必要です。
この記事を読まれている方は、「クラウドエンジニア」について、ご自身で調べてここまで来てくださったのだと思います。ですので、あなたは「自ら調べる」ということはもう実践できる方、つまりエンジニアとしての資質は十分お持ちです。
まずはちょっと資格の勉強をしてみるでも良いですし、転職に強いスクールを調べてみるのもありです。
一歩踏み出してみるのはいかがでしょうか。
プログラミングスクールの選び方については、こちらにまとまっていますので、ぜひご覧になってみてください。
クラウドエンジニアは良い選択肢だと思います
この記事では、クラウドエンジニアのお仕事について紹介しました。
クラウドエンジニアは、今後も仕事が増えることが予想され、スキルを持った人材が足りていない状況にあることがわかりました。また、平均収入も一般の会社員よりも高い職種であることもわかりました。
安定して働けることにメリットを感じたり、社会の基盤に携わることに喜びややりがいを感じたりできるのであれば、クラウドエンジニアはとても良い選択なのではないか、と筆者は考えています。
今回の記事を参考にして、楽しく働くことができそうだと感じたならば、本気で転職を検討してみてはいかがでしょうか。
ただし、未経験の分野への転職には不安もあることでしょう。前もって色々と相談したいことがあるかもしれません。
CODExCODEでは、受講する前でも無料で相談できる窓口が用意されています。
さらに、CODExCODEは転職にも力を入れていて、スクール卒業後の転職成功率は97%という高いものになっています。キャリアカウンセラーはIT系転職支援専門としてキャリアを積んでいますので、ご不安な点にも具体的な回答が得られると思います。
ご不安なかたは、一度相談してみてはいかがでしょうか。